【インタビュー】樹海、明治神宮、縄文杉…日本の不思議な場所やオカルトとの向き合い方を森林ジャーナリストが語る!
ここ数年、登山やハイキングなどがブームだ。山や森は未知の世界へ足を踏み入れるワクワク感や、森林浴という言葉に代表されるように日常の喧騒から逃れリフレッシュできそうだというイメージがある。その一方で、遭難の危険やさまざまな恐怖体験、不思議な出来事といった想定外のことが起こる可能性もある。『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)は、ボルネオ島(東マレーシア)にある熱帯雨林をはじめ、国内外の数多の森や山を探検した森林ジャーナリストの田中淳夫氏が、その中で起きた不思議な体験を書き綴った1冊だ。今回は、そんな田中氏にインタビューを敢行。前後編にわたって話を聞いた。
■前編はこちら
前半では、ボルネオ島で出会った幻の民であるプナン族や、ソロモン諸島での伝説が消えた理由などについて話をうかがった。後半では、身近である日本国内の秘境や、屋久島の縄文杉について話を聞いた。
――そういった辺境の地と比べると、日本は全国津々浦々、教育や情報が行き渡り、なかなか秘境と呼べる場所が少ないように思います。その中のひとつである青木ヶ原樹海へ入ったことがあるそうですが、現実世界の樹海は都市伝説と違いはありましたか?
田中淳夫氏(以下、田中) 青木ヶ原樹海へは、ケイビングといって、洞窟の中をヘッドライトだけを頼りにして探検する行為にハマっていたときに、訪れました。
樹海は、少し足を踏み入れると、平坦な場所にブッシュが生い茂っているためか、方向感覚が狂います。山の斜面ならばなんとなく方向感覚はつかめるのですが、平坦だと同じ道に戻ったつもりでもまったく違う場所にたどり着き危うく仲間から離れてしまうところでした。
――樹海は方位磁石が利かなくなると聞きます。
田中 磁石が効かなくなる理由は、磁石を含んだ岩があるからです。確かに、そういう岩にコンパスを置けば、多少は狂うでしょうね。しかし、コンパスを持っている人間の手の高さまでその影響が及ぶことはありません。
――ケイビングということは、相当狭い穴の中にも入った経験があるんですか?
田中 若い頃は、穴があったら入りたい人間でした(笑)。そのために狭い穴の中へホフク前進をしながら入っていき、奥を確かめたので戻ろうとしたら体が天井に引っかかり出られなくなったことや、天井が崩れて下半身が埋まってしまったりしたこともあります。もちろん、最終的に出ることはできましたが、狭いために誰も助けには来てくれません。とにかく悪戦苦闘し、なんとか出るしかないんです。
――本書では、霊感がないという田中さんでも沖縄のアサギ森では感じるものがあったと。ここはどういった場所なのでしょうか?
田中 沖縄全体を周ったわけではありませんが、沖縄には、たいてい集落を守る神様の森があるようです。本土でいえば神社のようなものでしょうか。
私が沖縄の方に案内されて訪れたアサギ森は、集落の裏にあり、樹齢500年とも伝わるアカギやフクギの大木が茂っていました。
私は元々霊感がないですし、そういった類いのものに懐疑的なのですが、アサギ森はビンビン感じるものがありました。案内をしてくれた地元の方もすごく何かを感じると話していましたね。
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