【インタビュー】樹海、明治神宮、縄文杉…日本の不思議な場所やオカルトとの向き合い方を森林ジャーナリストが語る!
■森から感じる“不思議なパワー”
――私も霊感などはないし、オカルト的なものには懐疑的ですが、東京の明治神宮へ行くと、同じように何かを感じることはありますね。
田中 明治神宮は原生林や太古から続く森ではなく、明治天皇、そして昭憲皇太后の崩御後に作られた人工の森ですが、何か感じますよね。そういう感覚は大切で、科学的でないと否定すると本当の森は理解できなくなると思いますね。そういう自分の感覚は大切にしつつ、オカルトには振り回されないようにしないといけない。
――具体的にはどういうことでしょうか?
田中 たとえば、それがパワースポットであろうと、マイナスイオンであろうと何かを感じるのは良いのですが、同時に一歩引いて、自分を客観的に見る姿勢が大切です。
そうしないで、なにかしらのパワーを受けて、どんな病気でも良くなるなどと言い出すのには気をつけたいですね。
――まだ行ったことのない日本の秘境で、今後行きたいと考えている場所はありますか?
田中 行ったことのない場所というよりも確認したいことはありますね。
屋久島の縄文杉は日本でもっとも樹齢が高くて大きな杉として知られていますね。でも実は、屋久島の地元の人たちがもっと大きい杉を見つけたという噂があるんです。ただ、それを発表すると観光客が殺到し、荒らされてしまうから公にしていないんだと。その真偽の程を確かめたい気持ちはあります。
――屋久島もそうですが、最近登山やハイキングがブームです。これについてはどう見ていますか?
田中 皆さん団体で、山に登ることが多いですよね。そうした集団に山で遭遇することが多々あるのですが、山を登っているのに自然を堪能しないで、お喋りに夢中になっているのを見かけます。
私の流儀としては、ひとりもしくは数人の気心の知れた仲間と自然を楽しみながら登るのが楽しいので、その辺は違うのかなと思います。
そう考えると、山に登ることが目的ではなく、人との出会いや親睦を深めることを求めているのかなとも考えることもあります。ただ、これはあくまでも流儀の違いであって、批判ではありません。
――最後にメッセージをお願いします。
田中 本の体験談は、すべて私が経験したことで実話です。そういったオカルト的な話や不思議な体験を完全に批判するというより、笑い飛ばしてネタにするくらいの心持ちでいてほしいと思いますね。私がこの本を書いたように。
(取材・文=本多カツヒロ)
田中淳夫(たなか・あつお)
1959年大阪府生まれ。静岡大学探検部を卒業。森林ジャーナリスト。著書に『森林異変』『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『樹木葬という選択』(築地書館)など多数。
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