アルツハイマー病の発症が96%の精度でわかる、新・検査方法とは? 高齢化社会に朗報

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 増え続ける認知症。厚生労働省の調査によるとアルツハイマー病は、日本では65歳以上の人のうち、462万人が発症しているといいます。

 その主要な原因の一つが、根本的な治療法がないということで、その発症のメカニズムもまだはっきりとはわかっていません。そんな中、血液検査によって数年以内にアルツハイマー病を発症するかどうかを、90%以上の精度で調べることができるという研究結果が、3月9日に科学雑誌「Nature Medicine」にて発表されました。

 ジョージタウン大学のハワード・フェデロフ博士らの研究グループは、525人の健康な70歳以上の人について5年間の調査を行い、その間にアルツハイマー病を発症したケースを調べました。この研究において、アルツハイマー病を発症した28人の血液サンプルを調べたところ、血液中にある10種の「脂質代謝物」の数値が低いことが判明しました。

「リン脂質」と呼ばれるこれらの物質は、細胞膜の主要な構成要素であるなど非常に重要なもので、その減少が脳神経細胞集団の衰弱をあらわしていると考えられました。そこで、その後の試験でその数値に着目したところ、96%の精度で2年から3年以内にアルツハイマー病を発症することが予想できるようになったということです。

 アルツハイマー病の可能性についての検査はこれまで、大がかりな装置を利用して体内を撮影する「ポジトロン断層法」、また、腰に針を刺して髄液を採取する、激痛を伴う方法しかありませんでした。それが安価で平易な血液検査で判明するというのは、画期的なことです。

 アルツハイマー病では、「タウ」や「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積することが確認されていますが、その原因についてはまだ全容が解明されてはいません。今回の研究では、代謝の面に着目し、発症から2、3年前の段階でその徴候をつかむことができました。さらに、脂質代謝物の数値の変化よりも、それをもたらす代謝の変化や遺伝子の変化が先に起こることから、もっと早くからその可能性を調べることができるのではないかと期待されています。

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