みんなオカルトが大好きだった ― 三島由紀夫のUFO小説、石原慎太郎のネッシー探検…「空飛ぶ円盤研究会」の仲間たち

【拝啓 澁澤先生、あなたが見たのはどんな夢ですか?~シュルレアリスム、その後~】――マルキ・ド・サド、そして数多くの幻想芸術……。フランス文学者澁澤龍彦が残した功績は大きい。没後20年以上たったいま、偉大な先人に敬意を払いつつ、取りこぼした異端について調査を進める――

みんなオカルトが大好きだった ― 三島由紀夫のUFO小説、石原慎太郎のネッシー探検…「空飛ぶ円盤研究会」の仲間たちの画像1三島由紀夫(Wikipedia)より

■小説『美しい星』

「十一月半ばのよく晴れた夜半すぎ、埼玉県飯能市の大きな邸の車庫から、五十一年型のフォルクスワーゲンがけたたましい音を立てて走り出した」(『美しい星』より引用)

 三島由紀夫の小説『美しい星』の冒頭である。ちなみに車の行き先は街の外れにある羅漢山。そして目的はなんと、空飛ぶ円盤との交流である。

 小説が発表されたのは昭和37年。以前からUFO観測に熱中していた三島由紀夫が満を持して発表したオカルト小説だった。

 三島由紀夫がオカルトに夢中だった?

 かの文豪が超常現象の類に傾倒していたことを意外に思う読者も多いかもしれないが、これはまぎれもない事実なのである。とはいえ、このオカルト熱は三島由紀夫に限ったことではなく、当時の日本全体を覆っていたムードだったと言えるかもしれない。

 今回はオカルトという一枚の薄いヴェールによって覆い隠されたもう一つの日本近代文学史について解説したいと思う。


■著名人ばかり! 空飛ぶ円盤研究会(JFSA)

 かつて日本には日本空飛ぶ円盤研究会(Japan Flying Sauser Research Association)というサークルがあった。日本最初のUFO研究団体であり、一時期は会員数も1,000名を超えたという。

 一種のオカルト研究サークルなのだが、メンバーにはSF作家の星新一、筒井康隆、小松左京、作曲家の黛敏郎、元都知事・石原慎太郎など著名人がずらり。

 星新一はこのサークルについて以下のように回想している。

「それはやっぱり小松(左京)さんにしても、半村(良)さんや筒井(康隆)さんだって、言うに言われぬなにかがあったでしょうな。それをいちがいに救いを求めてとは言えないでしょうが、少なくともぼくの中には、そういう現実からの逃避としてのSFという傾
向はありましたね」(『幻想文学講義 「幻想文学」インタビュー集成』国書刊行会)

 そして三島由紀夫もこのサークルに所属し、UFO研究に没頭したのだった。

 三島由紀夫が熱中した超常現象はUFO研究の他にもたくさんある。たとえば、横尾忠則がポスター制作を担当したアラビア魔法団。

「当時日本の文壇を代表する大作家、三島由紀夫もこの公演を観に訪れ、アラビア魔法にはまってしまった」(『虚人魁人康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』学習研究社)

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