加速する3Dプリンタ悪用犯罪の数々!! 拳銃、スキミング…便利と危険は表裏一体!
■どんな鍵でも簡単に複製?
米国シュレイジ社が開発した、高い防犯性能を誇る鍵「プリマス」。高度な技術によって生産され、政府期間や拘置所でも利用されるこの鍵。「複製することは不可能」とメーカーは自信を持っていたが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生たちが、3Dプリンターを用いてそれをやってのけた。
MITの学生たちは、独自に開発したソフトウェアと、高出力3Dプリンターサービスを利用して複製に成功したと報じられている。しかもナイロン素材であれば、かかった費用はわずか500円程度だったという。
従来からある金属製の鍵も、カードキーも安全ではなくなってしまうとすると、今後は生体認証などによる防犯システムを導入する必要がありそうだ。
■警察の捜査活動も変える!
さて、犯罪者が喜びそうな話ばかりが続いたが、3Dプリンターは犯罪を捜査する側にも大きなメリットをもたらすという。
2000年末、日本中に衝撃を与えた「世田谷一家殺害事件」。事件発生からすでに13年以上が経つが、未だに犯人は捕まっていない。最近は、当時の現場を知る捜査官がほとんどいなくなってしまった点が問題視されていた。しかし昨年12月、警視庁は被害者宅を3Dプリンターで再現した模型を製作して公開した。今後、石膏製の再現模型は、新しく加わる捜査官への事件の説明や、周辺住民の記憶を喚起するために用いられるという。
他にも犯罪捜査の現場では、被害者の頭蓋骨を復元し、凶器の形状と照合するなどの目的で、すでに3Dプリンターが用いられている。さらに警視庁は、裁判員に犯罪現場などを説明するため、公判の場において3Dプリンターを積極的に活用することを検討しているとも伝えられている。従来用いられていた平面図や写真よりも、裁判員が事件現場をイメージしやすくする狙いがあるという。
革新的な技術には負の側面が常につきまとう。結局のところ、それをどう活かすのかという問題が、個人と社会に突きつけられているとも言えそうだ。いずれにしても、これから3Dプリンターがさらに普及するに従い、広がりを見せるであろう新たな課題に対して、早めの対策が必要であるということは間違いなさそうだ。
(モンペ・アザブジュバーン)
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