【日本怪事件】電話の奥に潜む殺人鬼女!! “出会い系は怖い”と再確認する事件とは？

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　とうとう2人は、ナンバープレートを盗んだのが発覚して、逮捕される。平成14年3月1日に、健太郎に懲役1年6カ月、亜矢子に懲役1年の有罪判決が下った。ただし、2人とも3年間の執行猶予が付き、釈放される。

　健太郎が自動車用品店に就職すると、「月20万円を8カ月間支払えば、組長が結婚を認めてくれる」と言って、亜矢子は金をだまし取った。さらに、「交通事故を起こした」「組員の香典」などと言って、亜矢子の金の要求はとどまらない。

　その頃に亜矢子が知り合ったのが、辻村正晴であった。デート代を自分が出すくらい、亜矢子は正晴に惚れていた。亜矢子は正晴のことを、健太郎に隠さなかった。会っているところを見せつけ、「月20万円を払わなければ、組長が無理矢理、正晴と結婚させると言っている」と、金をむしり取る材料にした。

　正晴の姉の尚子（仮名）は、弟の女友達とすぐに仲良くなる性格だった。正晴と亜矢子が電話で話していると、尚子が変わりたがり、尚子が亜矢子と話す。正晴と亜矢子と尚子は、一緒に遊びに出る仲になった。

　亜矢子は携帯電話を複数持ち、別の人間になりすますことがあった。おネェ言葉のヤクザだが、気が優しいという、「小鉄」という人物を作り上げ、正晴に電話した。「小鉄」は「亜矢子を大事にしろ」などと言い、相手をコントロールしていった。正晴は、「小鉄」が亜矢子であることに、まるで気がつかない。

　そして、姉の尚子が小鉄と話したがった。亜矢子が演じる小鉄は、どんなことを言えば女性が喜ぶか分かっている。何度も話しているうちに、尚子は小鉄のことが好きになってしまった。

　そして亜矢子は、健太郎を小鉄になりすまさせて尚子とデートさせ、健太郎に尚子を殺害させて金を奪うことを考える。

「友達が正晴に強姦されて子どもが産めなくなり、婚約者に捨てられて自殺した。仇を討つために自分が正晴を殺して金を奪うから、あんたは尚子を殺して金を奪ってくれ」

　こんな話を、健太郎は請け負ってしまう。もちろん、亜矢子が正晴を殺すというのは、嘘だ。

　平成14年7月7日、小鉄になりすました健太郎が尚子を車に乗せ、和歌山県海南市の夜景スポットをドライブする。しだいに尚子は、不審に思い始める。電話で話していた小鉄は饒舌だったのに、今日はあまりにも無口だからだ。本当に小鉄なのか？　「免許証を見せて」と尚子は言った。

　やるしかない、と健太郎は思った。「免許証を見せるから目をつむって」と言うと、隠し持っていたスタンガンを尚子の首に押し当てて、スイッチを入れる。いったんは気を失った尚子だが、意識を取り戻して外に逃げようとする。

　健太郎は、尚子を引き戻し、首を絞め続けて殺害した。遺体は、高野山の山中で、ガソリンをかけて12時間かけて焼却された。10万円は奪えるであろうと考えていた亜矢子だが、尚子の所持金は、3万5000円だった。ガソリン代を引いて、3万円を健太郎は亜矢子に渡した。

　亜矢子は、いまだに小鉄の存在を信じていた正晴に、尚子は小鉄と駆け落ちしたと信じ込ませて、捜索をさせないようにした。

　亜矢子は健太郎にまた、組長の存在をちらつかせて、次の犯罪を持ちかけた。

　7月13日、健太郎は亜矢子に言われるままに、すでに退職した自動車用品店の店長を、店の駐車場でサバイバルナイフで突き刺した。血を迸らせながら、店長は自分の車に逃げ込み、ドアロックすると携帯電話で110番した。

　健太郎は2日間逃走を続けたが、京都府内で職務質問を受け、強盗殺人未遂容疑で逮捕された。8月26日、亜矢子も逮捕される。
　

 
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