村の番人となった“燻製ミイラ”? 南国に住む「アンガ族」、驚愕の遺体処理儀式とは?

 世界には未だ知られざる驚くべき風習を持つ部族が存在しているようだ。今月7日、「Odditycentral」が報じたところによると、南太平洋パプアニューギニアのモロべ州の奥地では、切り立った崖から周囲を見下ろす「燻製ミイラ」に出会うことができるという。

村の番人となった燻製ミイラ? 南国に住む「アンガ族」、驚愕の遺体処理儀式とは?の画像1画像は「The Daily Mail」より


■死者を「燻製ミイラ」にする理由とは?

 この「燻製ミイラ」は、現地の「アンガ族」と呼ばれる部族に受け継がれてきた風習だ。このように弔うことで、死者が村を外敵から守ってくれると彼らは信じている。そのため、侵入者を監視しやすいように、生前最も尊敬された戦士が崖で最も見晴らしの良い場所に置かれるという。


■「燻製ミイラ」の作り方

「アンガ族」で人が亡くなると、早速「燻製ミイラ」化の儀式が始まる。まず、遺体の膝や肘に切り込みを入れてから竹槍を内臓に突き刺し、脂肪が抜き取られる。そこで採取した脂肪は、遺族たちの髪に塗られる。こうすることで、死者が過去に持っていた強さが、残された人々に受け継がれるのだという。また、同様の理由から、そこで余った脂肪は食用油としても使われる。

 次に彼らは、遺体の目や口、肛門を縫い付けて閉じる。これは遺体内部への空気浸入を少なくし、肉が腐敗することを避けるための処置だ。そして足の裏や手のひら、さらに舌が削ぎ取られ、配偶者に捧げられてから、ようやく遺体は炉の煙で燻される。最後に、虫や動物に食べられないように全身に黄土と粘土を塗り、「燻製ミイラ」の完成だ。ミイラの多くが朱色をしているのは、この最後の工程に起因している。

■死者をリスペクトする風習

 完成した「燻製ミイラ」は、竹などを組み合わせて作った籠のような台の上で、朽ち果てるまで崖に鎮座し続ける。部族の村で特別な祭事が催される時には、下ろして祀ることもあるようだが、それが終わればすぐに元の場所へと戻されるという。崖の下には、「燻製ミイラ」の残骸も散乱しているが、現在確認できる一番古いミイラは200年ほど前のものであるとされている。

「アンガ族」にとってこのような風習は、単に外部の人間を怖がらせるためではなく、先祖から受け継がれてきた死者をリスペクトするための方法に他ならない。彼らにとってこのような“死後の姿”は、最高の名誉だったのだ。しかし1975年、パプアニューギニア独立の際、このような行為を問題視したカトリック教会の影響で、彼らの風習は禁止されてしまった。


 ではその後、「燻製ミイラ」の風習は途絶えてしまったのかというと、実はそうとも言い切れないようだ。現在も、外部の人間がほとんど足を踏み入れることのない奥地では、ごく少数の部族の間で、死者を「燻製ミイラ」化する行為が好まれているという。
(モンペ・アザブジュバーン)

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