汚すぎて戦争へ?ゴミまみれの「チリウン川」が大変なことに!=インドネシア

■もはや政治課題に

 筆者としては心苦しい指摘だが、インドネシア国民には「ゴミをゴミ箱へ捨てる」という習慣がないのである。

 その理由は二つ。「ゴミをポイ捨てする」ということが清掃業者にとっての稼ぎ口になる(つまり彼らに仕事を与えている)ということと、昔はポイ捨てしてもゴミそのものが天然由来のものだったから自然と土に還っていたためだ。

 だがバナナの葉はバクテリアが消化してくれるが、ペットボトルはそうではない。溜まりに溜まったゴミがやがて川を犯し、水を堰き止め、ついには洪水が慢性化してしまった。ジャカルタでは雨季の盛り(1月下旬から2月)になると、大規模な水害が起こる都市としても有名だ。

 そんな状況を改善するため、ついに大統領が動いた。インドネシア政界では異色の経歴の持ち主であるジョコ・ウィドド大統領は、政治集会で支持者が出したゴミの回収を呼びかけ、有志の清掃ボランティアについて積極的に言及するなど「ゴミ戦争」の解決に熱心である。

 逆に言えば、ジョコ大統領が中央政界に出てくるまではどの政治家もゴミ問題にまったく関心を払わなかったのだ。福祉と公的資金注入を呼びかける政党の集会が終わると、その会場はゴミだらけで誰一人片付けないという光景もザラにあった。

 10年後のチリウン川は、どうなっているのだろうか?

 筆者はいつも、そう考えずにはいられない。
(文=澤田真一)

■澤田真一
フリーライター。経済情報サイト等で執筆多数。日本とインドネシアを往復する生活を送りながら、記事作成や実地調査などの仕事を請け負う。只今、インドネシア関連の執筆及び調査の依頼を受付中。https://www.facebook.com/masakazu.sawada

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