エイリアンは赤くて暗い星にいる ?― 5分でわかる、赤色矮星の謎
【赤色矮星にきっと生物がいる!】
■温度と水の問題
NASAや地球外知的生命探査協会の科学者がコンピュータでシミュレーションをしてみたところ、こんな結果が出た。仮に質量にして地球の10分の1の大気があれば、たとえ潮汐ロックがかかっていたとしても、常昼半球から常夜半球へ熱が運ばれ、常夜半球側が凍ることもなければ、常昼半球側の水が沸騰することもないという。さらに海が存在していれば海流によっても熱が運ばれることだろう。雲が発生すると恒星に面しているところの温度上昇がさらに抑えられるであろうというのだ。
そこで常昼半球と常夜半球との境界のリング状の地域は、ちょうどよい温度で住みやすい環境ができているだろうと考えることができるというのだ。そこでは季節は無く、夜もない。常に同じ方向に太陽があるので、植物は葉の方向を調整する必要もない。
■光合成問題も解決?
植物が光合成に使える光の量は、赤色矮星を回る惑星では地球の5-25%しかない。しかし悲観することはない。確かに地球の植物は赤い色の光を使って光合成しているが、たいていのバクテリアは「近赤外線」を使って光合成している。赤色矮星はこの近赤外線をもっとも強く放っている。となると、赤色矮星でも光合成は十分できるのだ。
■フレアで死滅問題は?
フレアについてはどうか? フレアは太陽で起こる爆発で、強烈な太陽風と放射線で地球にオーロラをもたらしたり、電子機器類を誤作動させたりする。赤色矮星のすぐ近くを回る惑星はこのフレアにさらされやすいと考えられているが、地球のバクテリアはどうかというと、紫外線によって損傷したDNAを修復できる。これと同じように赤色矮星の惑星で生息する生物もフレアによって傷ついたDNAを修復できるのではないだろうか? さらに赤色矮星ではフレアはほとんど発生していないのだという。発生していたとしても、それは生まれてまだ1億年しかたっていない若い星だけだということも明らかになっている。さらに、フレアが発生したとしても、1時間以内に収まる。
つまり…、エイリアンはやっぱり赤くて薄暗い星にいる!
■長寿=知的生命が生まれる星として適している
さらに太陽サイズの星は100億年の寿命しかないが、赤色矮星はその10倍もの長生きをする。ビッグバン当時(138億年前)にできた赤色矮星は、今もなお健在だ。弱い光を放ちながら細々と長生きしているのだ。そして、地球は46億年前に生まれたが、生物が生まれて30億年もの間は顕微鏡サイズの単細胞生物しかいなかったのだ。
そう考えると、赤色矮星は寿命が長いので、生物が知的生命に変わるのにたっぷり時間がある。
知的生命体が生まれるには星の寿命は長いほうが良いということだ。
赤色矮星は、数の上では、太陽と同じ大きさの星の10倍も存在していて、仮に1000個の赤色矮星と同数の太陽サイズの星を探査した場合、赤色矮星と地球との平均距離は太陽サイズの恒星たちの半分になる。
つまり、赤色矮星は我々に近いところにたくさんあるのだ。もしもそこに知的生命体がいたとしたら…? 地球にやって来るのも時間の問題かもしれない。
参考:「Astronomy 2014年2月号」
山本 睦徳(やまもとむつのり)
ドキュメンタリー作家。地球科学のドキュメンタリー映画製作、記事を執筆。面白くて楽しく読める文章で読者を地球科学の世界へ誘う。http://www.earthscience.jp
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2024.10.02 20:00心霊エイリアンは赤くて暗い星にいる ?― 5分でわかる、赤色矮星の謎のページです。エイリアン、赤色矮星、山本睦徳などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで