美しい写真で見る秘境「軍艦島」 ― 世界文化遺産を目指して
撮影:酒井透、小田部あけみ
軍艦島では、1974年(昭和39年)の閉山まで、海底奥深くから石炭を掘り出していた。往時、島の東側には、石炭を地上に運び出すための施設や、石炭を製品炭にするための施設があった。この部分は、鉱業所と呼ばれていて、数多くの人が働いていたところだ。しかし、遊歩道周辺にあるのは、これらの施設の一部である。遊歩道の北側(長崎市の中心部寄り)には、さらにいくつかの施設が残されている。
撮影:酒井透、小田部あけみ
遊歩道の北側と端島小中学校の間には、製品炭を運ぶために使われていたベルトコンベアの支柱が残されている。そして、そのさらに北側には、通風弁室(排気施設)や扇風機室(同)、第四竪抗櫓(やぐら)の支柱などがある。これらの施設は、閉山まで使われていたもので、通風弁室や扇風機室には、坑内の空気を外部に送り出して、空気の循環を行うための装置が設置されていた。また、その北側には、第四竪抗巻座跡がある。この施設には、第四竪坑に設置されていたゲージを昇降させるためのワイヤーの巻き上げ機が設置されていた。ゲージには、炭鉱労働者が乗って、海底奥深くにある採掘現場へと向かっていた。
撮影:酒井透、小田部あけみ
これから軍艦島に行く予定のある方は、上陸してからすぐに第1見学所に向かうのではなく、その手前のスロープ部分でちょっと足を止めて、北の方角を見てみよう。そこからは、ベルトコンベアの支柱や第四竪抗巻座跡の上の部分を見ることができる。実のところ、このスロープ部分は、軍艦島観光の隠れたポイントとなっているのである。
次回は、高層住宅群や映画館跡、神社・寺院跡、商店街跡などが残されている島の西側にスポットを当ててみたいと思う。
【酒井氏がおすすめの軍艦島入門書】
・『廃墟賛歌 軍艦島 DVD BOOK』(宝島社DVD BOOKシリーズ)
・『軍艦島 離島40年 人びとの記憶とこれから』(実業之日本社)
・『軍艦島――廃墟からのメッセージ』(亜紀書房)
・『軍艦島 住み方の記憶』(NPO軍艦島を世界遺産にする会)
・『軍艦島入門 』(実業之日本社)
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2024.10.02 20:00心霊美しい写真で見る秘境「軍艦島」 ― 世界文化遺産を目指してのページです。軍艦島、世界文化遺産登録決定などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで