馬鹿げた教育法のせい?「つまようじ事件」の本当の闇を心理学者と弁護士が究明

馬鹿げた教育法のせい?「つまようじ事件」の本当の闇を心理学者と弁護士が究明の画像1credit:diamondrefractionindex/from Flickr CC BY 2.0

 つまようじを菓子に刺したり、商品を万引したりする様子が動画サイト「ユーチューブ」に投稿された問題で注目されていた「つまようじ少年」。動画では「俺は神様以上の存在だ」「無能警察」など挑発を繰り返したが、逮捕後、警察の取り調べに対し「少年法を改正するために有名になり、英雄になる必要があった」と語っていると報じられている。

 少年は、一体どのような心理が働いて、事に及んだのか? また、今後どうなるのか? 「法と心理学」の2つの面から、今回の事件を考えてみることにする。

心理学者の見解

 心理学者の富田隆氏は、今回の少年の心理をこのように見る。

「今回のケースは、“目立って騒がれたい”という一種の『喝采願望』によって引き起こされた事件です。最近は精神的に未成熟で幼稚なまま成長してしまう人が増えている傾向にありますが、この少年もそれに該当します。昔ならば肉体が成長して15~16歳にもなれば、父や母の労働を手伝い、そして働く姿を見ながら精神的に成長することができた。ところが時代が進歩するにつれて、若者に労働力以外を求める社会になったんです。本来ならば働ける年齢にもかかわらず、『教養の基礎』を取得しないと社会的に認められない。社会の要求が大きくなるほど『モラトリアム人間』が生まれやすいんです。これは多くの若者にもいえることではないでしょうか」

 つまようじ少年だけでなく、多くの若者がモラトリアムに陥っているのは事実である。富田氏はこう続ける。

「原因は学校教育にあるといえるでしょう。例えば、学校行事の運動会でも、徒競走なのにもかかわらず、生徒全員が揃ってからゴールする…という、馬鹿げた教育方法があります。これは『皆が平等であれ』という考え方に基づいたものですが、裏を返せば1等になっても喝采を浴びる機会が与えられず、個々の才能や努力を認めない教育といえます。こうして、自己実現の方法を覚えずに成長した子どもたちは、身体は成長しても精神が未熟のまま虚無感を抱くようになる可能性があるんです。そうして、抑圧された喝采願望がたまると、あらぬ犯罪を引き起こしてしまう。犯罪以外でその欲望を発散することができればいいのですが、彼の場合、そのことを19年間、誰も教えてくれなかったということでしょう」

 目立ちたいと思う気持ち自体は、決して悪いことではないと語ってくれた富田氏。しかし、その純粋な思いを潰してしまう環境が教育現場にあるというのは、我々が見直さねばならない問題であるといえる。

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