淫行処罰条例の“みだらな行為”とは具体的に何を指す? 各都道府県で定義バラバラ
全国で唯一、長野県は青少年とのみだらな性行為やわいせつ行為を.広く処罰する規定「淫行処罰」を条例で定めていないことが話題になっている。1月12日に産経新聞がこの問題を取り上げ、「少女と遊ぶなら長野 「条例」なし県の“重い腰”」という記事を掲載した。
私は過去に長野県で新聞記者をしていたので、長野県が「条例制定よりも住民運動で子どもを守る」という立場を貫いてきたことをよく覚えている。そのためか、長野県は「テレクラ規制条例」も全国47都道府県の中で最後の制定となったのだ。しかし、この時の「テレクラ規制条例」をめぐる議論の中でも違和感があった。というのも「ツーショットダイヤルを含むテレクラを規制する」という話をしているのに、ツーショットダイヤルがどんなシステムで、どんな人たちがツーショットダイヤルを利用しているのかを、議論の場にいる者たちが把握していない現状があったのだ。そして 「有害情報とは何か?」という内容がハッキリしないまま「テレクラ規制条例」の議論が進んでいた。
今回も同じだ。「淫行とは何か?」がハッキリしないまま、制定する/しないの議論だけが進んでいる。
■明確に示されぬ淫行の定義
そもそも、刑法上では、性交同意年齢は13歳だ。13歳未満の場合、性行為に対する同意があっても刑事罰の対象となる。また、民法上、結婚可能年齢は女性が16歳、男性が18歳となっている。こうした中で、18歳未満との性行為が条例違反=淫行にあたるということが、多くの都道府県においてルールとなっている。
そもそも、「淫行とは何か?」
しかし、各都道府県の条例にそれが明確に書かれているわけではない。その中で具体的に定めているのが神奈川県の条例だ。
31条第三項で<「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交>と、書いてある。
だが、「結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交」というのもなかなか難しい概念ではある。たとえば、ナンパで一晩だけの関係というのは、これに含まれるかもしれない。しかし、真摯に交際をしていた場合、「単に欲望を満たすためにのみ行う性交」とは言い難いが、実際に結婚を前提するかどうかを問われてしまうということになるのだろうか…? 施行規則にも書いていない。
また、千葉県はこうだ。<「何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、または困惑させる等、青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない」>
ふたりの関係について、神奈川県では「結婚を前提」とあるが、千葉県ではそこまで求められていない。
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2024.10.02 20:00心霊淫行処罰条例の“みだらな行為”とは具体的に何を指す? 各都道府県で定義バラバラのページです。渋井哲也、淫行処罰条例などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで