天動説は間違っていない? 単純だけど間違えやすい宇宙の法則を専門家に聞いた!
■ガリレオの誕生日にサウジアラビアの酋長が地動説を否定!
「それでも、地球は動く」
と地動説を唱え、天文学の祖として有名なガリレオ・ガリレイの誕生日に当たる2月15日、サウジアラビアの酋長アル・ハイバリ氏が、
「地球は自転していない!」
と地動説を否定した。
これはアラブ首長国連邦の大学生の質問に答えたもので、ハイバリ氏によれば、
「地球は自転しておらず、静止しているため飛行機に乗って、サウジアラビアから中国にたどり着くことが出来る。もし地球が自転していたら、飛行機では地球の自転速度に追いつくことはできないので、いつまで経っても中国にはたどり着けない」
…というわけだ。
※「それでも、地球は動く(E pur si muove)」とガリレオが法廷で呟いたというのは、ガリレオを尊敬していた弟子たちが、後付けで作ったフィクションという説が有力。
■慣性の法則を舐めんな? 今この瞬間も我々は時速1700kmで回っている!
ハイバリ氏の主張を聞いていると納得してしまいそうだが、地球はちゃんと自転している。彼の考えでは地面から飛び立ち、空中にいると地球の自転から切り離されてしまうだろう。
ところが宇宙には“慣性の法則”というモノがある。
乗り物に乗った時、それ自体が走り出すと体が後ろに引っ張られたり、速度を落とすと体が前に引っ張られたりするが、同じ速度走っていると何も感じない。これが慣性の法則で、物体(正確には質量を持つ物体)は、一度ある方向に力を加えて動き始めると、他に力が加わらない限り、同じ方向に動き続けるのだ。
地球の自転速度は、時速1300~1700kmだと言われている(観測する場所によって速度は違う)。それを感じる人はいないはずである。
また自分自身を含め、身の回りモノもすべて、地球の自転に乗って動いている。もし空中に放り上げただけで、地球の自転による慣性運動がなくなるとしたら、ジャンプしただけで人間は時速1700kmの猛スピードで、東へ吹っ飛んでいくことになるのだ。
地球上にある物質はすべて、慣性の法則で地球の自転速度で動いている。空中に飛び立った飛行機も地球の自転とともに動いており、飛行機の“本当のスピード”は地球の自転速度と飛行機のスピードを合算したモノなのである。
※ただし、東行きと西行きで飛行機の飛行時間が違うのは、主に風(偏西風)の影響による。
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