天動説は間違っていない? 単純だけど間違えやすい宇宙の法則を専門家に聞いた!

■本当に地球は自転しているのか? あえて突っ込む地球が自転している証拠

 さて、慣性の法則があるから飛行機の移動に地球の自転速度は関係ないという事だが、意地悪なツッコミをすれば、地球が時速1700kmで自転していても、静止していても結果は同じだということだ。

 したがって、ハイバリ氏の主張する天動説を論破することにはならない。そのあたりを天文学者の岩室史英博士に聞いてみた。

「地球の自転がないと説明できない身近な現象は、コリオリの力です。台風が北半球では反時計回り、南半球では時計回りになる原因は、地球の自転に起因するコリオリの力が働いているからです。科学館などにフーコー振り子というのがあるのを見たことがないでしょうか。これも、地球の自転がないと説明できません。簡単に言うと、北極点で空気抵抗が影響しないほどの細い弦と重いおもりで振り子をゆらしたら、地面が地球の自転で1回転しても振り子は地面とは関係なく振れ続けるために、1日で反時計回りに1回転します。逆に赤道上では回転しません。中緯度地域ではその中間となります」

※動画:Youtubeより

 つまり地球が静止しているとすると、台風の回転が北半球と南半球で必ず同じ向きになる理由を説明できない。また実験機器「フーコーの振り子」を使えば、慣性の法則だけの往復運動ではなく、地球の自転の影響を受けているため、振り子が微妙な動きをすることが確認できるのである。

■それでも地球は止まっている? 天動説を今でも信じている人がいる理由

 現代でも天動説を信じている人は、何もハイバリ氏だけではない。我々も日常的に「日が昇る」や「夕日が沈む」といった天動説的発言を使っている。また、惑星の語源となった火星や木星の“惑うような逆行軌道”も、実は天動説で計算可能だったりする。

 さらに太陽もこの宇宙空間では静止しておらず、銀河系の周りを凄いスピードで動いているのだ。つまり、この宇宙空間で静止している天体はなく、どこに基点を置いてもいいと仮定するならば、地球が静止しているとする天動説を信じてもいいわけである。

 そんな考え方に対して、前述の岩室史英博士は、

「確かに、見かけの運動だけを考えれば、天動説でも説明は可能ですが、地動説でないと説明できないこと現象等があります。たとえば、地球の運動速度と光の速度の合成により、地球の進行方向に天体が少しだけずれて見える『光行差』や、天体と地球との間のドップラー現象によって、天体のスペクトルが観測する波長は少しだけ変化したりしますが、これも地球が動いていなければ説明がつきません。

 いくら宇宙空間には基準となる点がないという状況でも、地球だけが止まっていて、宇宙全体が宇宙膨張やそれぞれの固有運動に加えて、近い天体も宇宙の果ての天体も、あまねく地球の1年に相当する周期で、地球に対して同じ運動をしていると考えるのは、よっぽどの宗教家でない限り無理だと思います」

 と語ってくれた。

 この地球上で生きていく上では、地球が回っていようが、宇宙が回っていようが、それほど関係がないかもしれないが、宇宙の真理を極めるのであれば、やはり「地球は動いている」のである。
(文=ごとうさとき)

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