怖過ぎる…!! 実在する“史上最も呪われた人形”を描いたホラー映画『アナベル 死霊館の人形』
・カルト集団、妊婦殺害事件
本作が影響を受けたであろう作品について紹介すると、まず、はじめに冒頭の幸せな夫婦の家に押し入る狂信的信者の凶行はマンソン事件を意識しているといえるだろう。69年、カルト集団教祖チャールズ・マンソン率いる「マンソン・ファミリー」とその信者たちがロマン・ポランスキー宅に押し入り、妊婦のシャロン・テートらを殺害した極悪非道な事件だが、これらのカルト集団の凶悪さを描いた映画は『ヘルター・スケルター』(日本公開=77年、以下同)から近作『リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー!』(06年)まで数多い。冒頭で意味もなく押し入ってきたあの男女の凶行は、絵空事ではない。
・3つの館もの
続いて、ある館に超常現象が起こり、翻弄される家族を描いた映画について触れたいと思う。この類いの映画は大きく3つに分類することができる。まず、『ヘルハウス』(74年)や『ポルターガイスト』(82年)等の“悪霊&屋敷もの”。『回転』(62年)や『アザーズ』(02年)などの“守護霊&屋敷もの”。そして、『エクソシスト』(74年)で確立された“悪魔&屋敷もの”というジャンルで、悪霊(=悪意ある死んだ人間)ではなく、悪魔(=善神と対峙する存在)であるところが新鮮だった。本作はまさに“悪魔&悪霊&屋敷もの”で、家に取り憑いた悪魔と人間の壮絶な戦いを描いているのだ。ここでハッキリしているのは“悪魔は滅ぼせない”という鉄則があること。この西洋の宗教の中に存在する悪魔が現実に存在するかどうかは、仏教徒の自分には分からない。悪魔を退治するには『エクソシスト」のカラス神父同様、心に深いキズを負った人間の自己犠牲しか退治する術がないのが物悲しい。
■人形がテーマの映画
そして本作のメインである人形について。人形をテーマにしたホラー映画も結構ある。人形屋敷の怪を描いた『ドールズ』(86年)を筆頭に、殺人鬼の魂が乗り移った『チャイルド・プレイ』(89年)のチャッキー人形、変化球として腹話術人形の恐怖を描いた『デッド・サイレンス』(08年)などがある。本作では、アナベル人形に悪魔が取り憑いて悪さをするところがミソ。このアナベル人形は、夫が捨てに行っても、いつの間にか家に戻ってくるという不気味さを持つうえに、実在してさらにその呪いは本物だから怖い。
余談だが、ストーリーの進行中に何度かショッキングなシーンが挿入されているが、その中で、手前にいるヒロインに向かって奥から女の子が駆け寄ったときの絶叫シーン。ホラーマニアならひと目で“ある映画”を思い出したと思う。興味があるのならイタリアンホラー『ザ・ショック』(79年)をご覧あれ。それを知ったからといって、本作の完成度の高さは変わらないはず。逆に製作サイドの、「様々な作品から、いいものを吸収しよう」とする努力に拍手だ。
おすすめシチュエーション
怖がりの彼女とのデートで「実話の映画化」と教えて一緒に観るべし! 恐怖に震える彼女を胸の中へ!
怖さ度 ★★★★★
笑える度 ★
オシャレ度 ★
マニアック度 ★★★★★
びっくり度 ★★★★
(文=深沢光太郎)
■劇場公開日
2月28日(土)新宿ピカデリー 他ロードショー
■配給
ワーナー・ブラザース映画
■公式サイト:annabellemovie.jp
■Twitter:@annabelle_mov
■上映時間:99分
■出演:アナベル・ウォーリス(『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11))
ウォード・ホートン(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13))
アルフレ・ウッダード(『それでも夜は明ける』(13))
ケリー・オマリー(TVシリーズ「ゾウズ・フー・キル 殺意の深層」(11))
ブライアン・ホウ(『デビルズ・ノット』(13))
トニー・アメンドーラ(TVシリーズ「ワンス・アポン・ア・タイム」(11~)
■監督:ジョン・R・レオネッティ『バタフライ・エフェクト2』
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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