知床で凶暴ヒグマに遭遇?ホェホェホェと声を発しながら近づいてきて! ~登山のクマ対策~

■登山の際のクマ対策

 北海道の山で登山をするさい、熊よけの鈴を付けて歩くことが薦められている。とはいっても特別な鈴ではなく、100円ショップの鈴で十分だ。ラジオを付けて歩くのもいい。要は人間がいることを熊に知らせてやればいいのだ。人が近づくと熊は逃げてくれる。ときには至近距離でばったり会ってしまうこともある。そういうときは要注意だ。ヒグマに背中を見せてはいけない。熊が逃げ去るまでじっと睨む。大きな声を出して興奮させてはいけないらしいが、私は「コラ!」と怒鳴りつけて追い払っている。

 山でキャンプをするときはヒグマに食料を取られないように気を付けなければならない。ヒグマは人間の食べ物の味を覚えてしまうと人間を襲うようになってしまうらしい。テントの中に持ち込むとヒグマが臭いを嗅ぎつけて奪いにくるので、50mくらい離れた場所に取られないように工夫して保管する必要がある。食料をビニール袋に入れて匂いがもれないようにして、棒を使って熊の手が届かない岩の隙間に入れるとよい。

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■カラフトマスを捕るヒグマ

 知床では8月下旬くらいからカラフトマスが川を遡上する。それを狙ってヒグマが川や河口にやってくる。9月半ば海辺に行ったとき、ヒグマがカラフトマスを捕っていた。ヒグマは海に入って全身でカラフトマスにおいかぶさるようにして捕まえ、捕った魚は小熊に分け与える。

 陸の方では別の親子がいて、河口にいるヒグマが漁を終えるのを順番待ちしていた。我先にと河口に殺到するのではないのだ。素晴らしいマナーだった。

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■ヒグマは賢い!

 通常ヒグマは理由もなく人間を襲わない。人間を避けるように行動している。ヒグマの対応を学んで、山に入るときは鈴をつけるなど対策をしておけば、ヒグマは決して怖い動物ではない。
(文=山本睦徳)

■山本睦徳(やまもと・むつのり)
ドキュメンタリー作家。地球科学のドキュメンタリー映画製作、記事を執筆。面白くて楽しく読める文章で読者を地球科学の世界へ誘う。<http://www.earthscience.jp

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