大学祭イベント「カマコン」は差別か? 女子大生が反旗を翻したLGBT問題をあなたはどう考える?

■「カマコン」は差別か?

 そうした活動をしている中で、Aの元に、ある在学生から心的苦痛を訴えるメールが届きました。大学祭でのイベント「カマコン」の問題点を指摘するものでした。「カマコン」とは、2011年から恒例行事となっていた、画像編集ソフトを使って、男子学生をどれだけ女性らしく加工できるのかの技術を競ったコンテストです。14年のテーマは「あなたが考える日本人らしい女性」。

A「別のキャンパスで行われていたので私は知りませんでしたが、そのキャンパスでは知られていました。私が『カマコン』に対して注意をしようとしたら、周りからは『注意して労力をかけたくない。そんなことをしていたら(時間もとられるので)単位を落としちゃうよ』と言われました。でも、私はひとりで突っ走って、そのための勉強をしたり、シンポジウムにも参加。結局、単位を取る時間もなくなり、学生生活どころではなくなりました」

 メールを出した学生は学生課にも相談していたが「学校空間における表現の自由」を理由に、大学側からは指導を行わないと告げられていました。「カマ」についても、「男性らしくないとされる男性」への蔑称として使われていることも踏まえ、反対意見を表明しました。インターネットの署名サイト「change.org」でも署名を集めたのです。

A「学生課に相談しても、解決する方向に行かなかったんです。コンテストの名前も『カマ』とあるだけで、それが“オカマ”であることが一瞬ではわからないようになっていました。なぜ『カマ』なのかは示されていなかったんです。でも、さすがに見直してもらいたいと交渉しました。しかし当事者は『人ではなく、写真を競うイベント』という主張でしたね」

 その後、大学側の事務局と大学祭の実行委員長と協議した結果、名称を「Photoshop七変化コンテスト」に、そして内容も「いかに化けたのか」という技術の競争イベントになったといいます。
 
A「実行委員長も、大学側も3年間OKし続けたということになってしまっていたのです。結局は、大学側に間に入ってもらい、直接交渉して改善することができました。大学側は、学生自治をあまり考えていないようで私は『クレーマー』のように扱われていたように感じていましたね」

 かつて「ミスコン開催が女性差別か?」が議論されたことがありました。筆者が通っていた大学では、ほかの大学がミスコンをするなか、伝統的に開催していませんでした。しかし、現在は開催されています。つまりこれは、「差別にあたるかどうかの議論」がされなくなってきているということなのかもしれません。そんな時代に、「オカマ」ネタのコンテストが差別に当たるのかどうかの話し合いがなされたこと自体、評価されることではないでしょうか。
(文=渋井哲也)

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