【バンコク裏街】日本人が愛したドラッグ・売春の聖地が消える ― 都市開発で失われた景観


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「ジュライホテルは1995年、楽宮旅社は2004年に閉鎖しました。楽宮の1階には北京飯店という日本料理(のようなもの)を出す食堂もありましたが、こちらも数年前に閉店しています。ヤワラー地区に最後まで残った日本人宿の台北旅社が閉鎖することには、ひとつの時代の区切りを感じますね。従業員の話によれば、閉鎖後に建物は取り壊され、同じオーナーによって新しいビルが建設されるそうです」(タイに詳しい旅行ライター)

 現在、ヤワラー地区はフワランポーン駅から続く地下鉄の延伸工事が行われている。ヤワラー地区には廃墟となったジュライホテルをはじめ、無人となった多くの建物が存在するが、地下鉄開通にともない、あたり一帯が再開発されるという話もある。

 これまで、この界隈はバンコク市内屈指の大渋滞ゾーンとして知られたが、地下鉄開通にともない、渋滞知らずの現代的な時間がこの地に刻まれることになるのだ。

「センチメンタルな見方をすれば、台北旅社の閉鎖は、ゆるゆるとした往年のバンコクの古きよき町並みがなくなるともいえるでしょう。むしろ、21世紀までこのような風景が残ったということが奇跡だといえるかもしれませんね」(前出・同)

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 これからのシーズン、バンコクでは毎日のようにスコールが降る。建物の中央部が吹き抜けとなった台北旅社は、屋上を覆うトタンに激しい雨の音が叩きつける。閉鎖まで残りわずかとなったが、魔都バンコク最暗部のノスタルジアに触れてみてはいかがだろうか。
(文・写真=平田宏利)

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