不倫セックスがすべての始まりだった? 高級幹部処刑15人、“粛清の嵐”北朝鮮の今

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深笛義也

 張成沢は国家・党・軍の要職に就き、外交上の窓口となる重要人物。当時は世界中の専門家が事態の分析に躍起となった。今では処刑の真の理由は、韓国メディアなどでは次のように語られている。国家の最高指導者が楽団を創るのが、金正日時代からの北朝鮮の伝統だ。金正恩は第一書記の座につく以前の09年に、「銀河水管弦楽団」を創設。12年には「モランボン楽団」を創設している。銀河水管弦楽団で、金正恩がトップ歌手に抜擢したのが、彼の現在の妻である李雪主(リソルジュ)だ。

 楽団を創るために、美貌と才能を兼ね備えた美少女を全国から集めていたのが、ほかならぬ張成沢であった。権力が絶対の北朝鮮にあって、オーディションをつかさどる人物に、少女たちがあらがえるはずもない。張成沢は、自分が目をつけた少女たちに肉体関係を強要していたといわれている。

 そして12年秋に、平壌に「ヘマジ食堂」という最高級レストランが開店した。「日の出」を意味する「ヘマジ」は、新時代の到来を期して、正恩自身が命名したものだ。そのヘマジ食堂の個室で2013年夏、張成沢が北朝鮮屈指のバイオリニストや銀河水管弦楽団の美女たちを集めて宴会を開いた。いい気分に酔っ払った張成沢は、留学先のスイスから帰った正恩に自分が楽団の美女をあてがったことや、張自身が李雪主とも肉体関係を持っていた過去を、あけすけに喋ってしまったのだ。

 この情報を耳にした正恩の命令によって、張成沢をはじめ、パーティに参加した幹部たちが逮捕された。それに伴い、10億ドルを超す張の海外秘密資金なども明らかになった。処刑に先立つ12月8日、緊急に招集された朝鮮労働党中央政治局拡大会議に、すでに拷問で弱りきっていた張成沢が引き立てられ、すべての役職を剥奪することが会場一致で可決された。

 翌9日の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』には、張成沢批判の言葉が踊った。

「張成沢は資本主義的な生活スタイルに染まり、不正腐敗行為を働き、堕落した生活を送った。何人もの女性と不当な関係を築きながら、高級食堂で酒色に溺れた」

 張は、金正日の妹である金敬姫の夫でもあった。そのことによって権力の座を手に入れたのだが、皮肉な結果となった。

 玄永哲の処刑は、北朝鮮の国際的立場にはさほどの影響はないと見られている。中国と親しかった張成沢の処刑によって、それまで後ろ盾であった中国までも北朝鮮を見放しており、もはやこれ以上悪くなりようがないからだ。

 だが、北朝鮮の国内では、そうではない。玄氏の処刑によって、いつ自分が同じ目に遭うかと幹部たちは恐れ、金正恩はクーデターや暗殺を恐れる。どちらもが疑心暗鬼に陥り、安定のしようがないのが、北朝鮮の実情だ。
(文=深笛義也)

■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ

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