人工授精で近親相姦リスクが高まる可能性=英・研究
英紙「Daily Mail」によると、ドナー提供で生まれた子どもたちは本人が気づかないまま、血のつながりのあるきょうだいと性的関係を持ってしまうリスクがあると伝えている。
■精子、卵子ドナーは身近にいる!?
イギリス・ケンブリッジ大学のスーザン・ゴロンボク教授は、40年以上にわたり“近代家族”の研究を続けている人物だが、最近発表した研究が話題を呼んでいる。
「ドナー提供による近親相姦の増加」というものだが、これは不妊治療をおこなう場合、身体への負担を考えて、なるべく通院が楽な近場の病院を選ぶことに端を発している。つまり、匿名である精子や卵子のドナーが、案外身近に住んでいる「ご近所さん」ということもありえるのだ。
教授は「Telegraph」の取材に対して次のように述べている。「自分が提供した精子や卵子が使われ、よその夫婦に子どもができたとします。その子は近隣のコミュニティーに住んで、自分の子どもとも年齢が近くて、同じ学校へ通っていることも考えられるのです。実際にそのようなことが起こる確率については不明ですが、可能性は私たちが考えている以上かもしれません」
つまり、自分の娘が年ごろになって連れてきた恋人の青年が、実は自分が20年前に提供した精子からできた「我が息子」だったという可能性がありえるということだ。
■ひとりの精子ドナーから150人が生まれた例も
現在、イギリスの法律ではひとりのドナーから作られる赤ん坊は、最高10人までと制限されている。しかし、アメリカでは多くの精子バンクがひとりのドナーから最大25人と設定してはいるものの、国としての法律がないのが現状だ。そのため「New York Times」の2011年9月5日付には、ひとりの精子ドナーから150人の子どもたちが生まれた例も紹介されている。
ゴロンボク教授の発表によれば、データ上では人工授精で生まれてきた子どもたちが、近親相姦を犯す可能性は低いとされているが、「これは現在起こっていることで、(人工授精が増えれば)今後は増えていくでしょう」と警告している。
教授はドナー提供で生まれた子どもたちに対して、親が事実をありのまま伝えることが近親相姦のリスク軽減に繋がると話している。子どもたちが前もって自分の出生を知ってさえいれば、軽いノリで性交渉をした相手が、実は自分のきょうだいだったというような不幸は避けられるはずだ。
また、現在イギリスでは16歳以上であれば、性的関係に入る前に相手が自分の血を分けたきょうだいであるかどうかをチェックしてくれる「Human Fertilisation and Embryology Authority(ヒトの受精および胚研究認可局)」という機関が発足している。
わけもなく惹かれ合った2人が、実は腹違いのきょうだいだった、なんてことが日常茶飯事にならぬよう、世界中で法の整備が急がれるところだ。
(文=佐藤Kay)
参考:「Daily Mail」、「Sunday Times」ほか
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