消しゴムは悪魔の道具 ― 大学教授が唱える「消しゴム不要論」とは?=イギリス
“消しゴムは悪魔の道具”、教室から排除してしまえ! というなんともびっくりな教育論がイギリス内で話題だという――。
■「消しゴムは失敗がなかったことにしてしまう」
この提案者は、ロンドンにある「King’s College」の客員教授にして、学習能力を向上させて人生に活かし、教育現場を改革しようというBLP(Building Learning Power)を運営しているガイ・クラクストン氏。これまでも教育について数多くの著書を持つ氏が、今回「消しゴムは失敗がなかったことにしてしまう」点について懸念、消しゴム不要論を発表した。
クラクストン氏は、消しゴムが存在することで、自分が間違った事実をなくし、書き直せてしまう、つまり「生徒たちに『私は間違ったことはありません。最初から正しい答えがわかっています』という嘘をつかせてしまうことにつながるからなのです」と「Telegraph」の取材に対し、語っている。
また「消しゴムのように簡単に間違いを消してしまうことは、現実の人生にも悪影響を及ぼしてしまう」とも……。
正解を早く出すことを重視するのではなく、子供たちが自分の失敗を見つめ直した上で何が難しかったのか、どうすれば正解に導けるか、どう取り組むべきか……その途中のプロセスこそが非常に重要なのであると主張した。
クラクストン氏は、消しゴムで間違いを消す代わりに、間違った箇所を赤で大きくわかるように印をつけたり、マーカーでなぞったりとあえて目立たせるようにすることを薦めているようだ。
「失敗は友達。間違いは恐れるものではなく、むしろ学ばせてくれる存在なのです」(クラクストン氏)
2012年に出版され話題となったアメリカ最新教育理論、ポール・タフ著『成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか』からも文を引用し、失敗からの反発力や好奇心こそが児童たちの成績向上につながり、ひいては人生にとってもプラスに働くのだとしている。
■「学校は人生の準備ができる場所である」
また、クラクストン氏は学校の役割についても言及し、「学校はテストをパスすることを学ぶだけの場所ではなく、全ての児童が人生に向けて準備や体験ができる場所であり、それこそが学校に求められていることなのです」と締めくくっている。確かにその点は一理あり頷ける。だが、それにしてもなぜそこまで消しゴムを目の敵にするのであろうか……。
クラクストン氏を取り上げた、今回の記事は反響を呼び、イギリス国内を中心にコメントが多数集まっている。しかし案の定というか、残念ながら「ナンセンス!」「子供時代に消しゴムを使っていたけど、今の人生に別に後悔していないけど!?」といった否定的な意見がほとんどのようである。
英教育界の革命児(もしくは問題児!?)であるクラクストン氏から次は一体どんな教育論が出てくるのであろうか、要注目である。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」、「Boston Globe」ほか
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