7月以降は相当ヤバい?「南海トラフ地震」の発生時期には法則があった!!

■古老たちが語った数々の“前兆現象”

『南海地震は予知できる』(中村不二夫著、高知新聞社)という本がある。高知県で病院の送迎バス運転手として働く中村不二夫氏が、昭和南海地震(1946年)の経験者である古老たちから聞き取った内容をまとめて自費出版したものだ。科学者でもない一般人が、よくもここまでまとめたと感心する内容で、南海トラフ地震の前兆を探る上で非常に貴重な資料となっている。

 終戦翌年の混乱のさなか、1946年12月21日午前4時19分に起きた昭和南海地震は、M8.0の巨大地震だ。9分間もの揺れが続いた後に、高さ4~5メートルの津波が発生したという。地震から10分もたたないうちに襲ってきた津波により、高知県・徳島県・和歌山県を中心に、1,330名の死者・行方不明者が出た。

 中村氏が運転する病院送迎バスは海沿いを走るため、昭和南海地震を経験した元漁師たちがたくさん乗り込んでくる。彼らが話す巨大地震と津波の体験を貴重なものと確信した中村氏は、5年の歳月をかけ約150人から聞き取り調査を行った。そして得られた情報を整理してみたところ、さまざまな前兆現象が見られることがわかったのだ。その中でも特に重要なものが、以下の5つだ。

1. 異常干潮
 地震前日の夕方から大きく潮が引いた。潮位の異常は数日前から起きていた。これは地殻変動による沿岸の地盤の隆起によるものと思われ、地震前夜の22時半頃に干潮はピークに達する。以降、水位はゆるやかに戻ったが、発震直後に再度急激な引潮が発生した後で津波に襲われた。

2. 井戸水が枯れた
 高知市のある民家では、2~3日前から釣瓶(つるべ)で汲めないほど井戸が枯れた。地震発生の3時間ほど後には、逆に井戸水が満杯状態となった。

3. 海水汚濁
 高知県宇佐町の沖合で操業していた約30隻のサバ漁船で、船の流れを安定させるための漁具にドロドロしたヘドロのような汚物が付着して、海藻が腐ったような異臭が立ちこめた。海底の地盤に陥没・亀裂が生じたために、地中から放出された可能性が高いと思われる。

4. 地震前の暖気
 地震の数日前から、12月にしては異常に暑かったという証言が多い。これは宝永地震・安政南海地震の時の古文書にも見られる記述だという。

5. スルメイカの大漁
 その年はスルメイカがよく獲れたという証言が多い。また、地震前日にはイカに限らず漁の収穫がなく、早めに引き上げたという人々も少なくなかった。

 ほかにも、地震前夜に空が真っ赤に染まっていたり、直前に地鳴りを聞いたといった証言もある。また中村氏は、2013年10月に東北地方を訪ねて、地元の漁師たちから東日本大震災の前兆現象について聞き取りを行っている。その結果、イワシ・マグロ・毛ガニの大漁、磁気コンパスの乱れ、異常な潮の流れ、当日の高気温などの報告が集まった。

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