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【ミステリー】人類滅亡と“謎の小箱” ― 予言者サウスコットが見た未来とは!?

2015.07.15 18:00

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画像は「Wikipedia」より

　デヴォン州に生まれたサウスコットは、母親が熱心なメソジストだったこともあり、幼い頃からメソジストの教会に通い、次第に神に対する神秘的な思い入れを強めたという。あまりに宗教感情が強かったせいか結婚には目もくれず、42歳になるまでメイドをしながら、自立した信心深いキリスト教徒として生きてきた。

　そして1792年の復活祭の時、サウスコットは自分の手が勝手に動いて何者かのメッセージを書き連ねるという経験をする。いわゆる「自動書記」と呼ばれる現象だ。さらに彼女は多くの幻も見えるようになり、上陸するフランス軍との戦いや、1799年と1800年の農作物の不作も予言したという。1801年に自らの予言をつづった小冊子を自費出版し、その翌年にはロンドンに出て、自らの予言を広める活動を行っている。折からナポレオンがヨーロッパを戦乱の渦に巻き込むと、彼女が見たフランス軍上陸の幻が大いに現実味を帯びてきたこともあり、彼女の信者は急速に増えた。

　その後、ナポレオンの凋落とともに彼女の支持者も減り始める、そんな時期の事だった。サウスコットは、自分が第二のキリストである「シロー」を身ごもっていると宣言したのだ。時は1814年、サウスコットはなんと64才であった。彼女は妊娠のあらゆる兆候を示し、診察した医師たちも身ごもっていることを確認した。

　ところがその年の12月になると、妊娠の兆候が突然消えてしまう。そしてサウスコット自身も、12月27日に死亡した。遺体は解剖されたが、妊娠した痕跡は一切見られなかったという。

　サウスコットは死後、封印された小箱を残した。信者たちは、この箱には人類の未来に関する重大な予言が隠されていると考えたが、サウスコット自身は「この箱はイギリス国教会の24人の主教全員が揃った場所でないと開いてはいけない」と言い残した。もちろん、まともな教会の主教たちがこの話を真に受けるはずもなく、箱は密封されたままになっていた。

　時は流れ、事態が変わったのは20世紀になってからのこと。この時、ゴーストハンターとして名高いハリー・プライスが箱の開封を依頼されたのだ。そして1927年6月、プライスはロンドンのウェストミンスターホールに集まった公衆の面前でこの箱を開いた。しかし中には、サウスコットが生前公表した予言の小冊子数冊と硬貨数枚、ジョン・クレランドの『愛の驚異』という小説、そしてがらくたの類が入っているに過ぎなかった。

　しかし、サウスコットの予言をめぐる物語はこれで終わりではない。現代もわずかに生き延びるサウスコット信者によると、プライスが開封したのは本物の箱ではないというのだ。これが事実だとすれば、本物は一体どこにあるのだろう。現在までのところ、何の手がかりもない。しかし、ある日突然サウスコットの予言なるものが再発見される日が訪れるかもしれない。その時、私たちはどんな未来を知ることになるのか、興味は尽きない。

羽仁礼（はに・れい）
一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員