水子供養を謳い文句に数億円! 茨城県・詐欺寺、生臭坊主どもの夢の跡とは?
人間誰しも、その心の中には、人知れず深い闇を抱えている。仕事や金銭、対人関係や恋愛に関する悩み、病気や怪我…そうした人の持つ弱みを見透かし、「救済」の名目の下、文字通り、「ケツの毛1本まで毟りとる」のが霊感商法の基本だ。1987年、茨城県の大子町に設立された宗教法人・本覚寺は、醍醐寺の末寺としてその歴史を刻み始めたが、同時にそれは後に生まれることとなる数多の被害者にとって、怨嗟と不安と嫉妬と憎悪にまみれた、地獄への一里塚となるものであった。
もともとこの本覚寺は、1984年に千葉で起業された水子菩薩を売る訪問販売会社の設立者によって立ち上げられた。彼はその後の3年間、地元にある曹洞宗の寺と協力する形でビジネスを展開していたが、その「旨み」を知り、さらなる野心を抱いたのか、僧籍者ではないにもかかわらず、いきなり宗教法人の設立を思い立つ。
当時の彼が思い描き、その後実行した「ひとつのビジネスモデル」の内容は、実にシンプルなもの。チラシなどを使い、格安の無料相談をエサに顧客を募っては、僧侶による鑑定を行い、「水子の霊があなたについている」「このままでは不幸のまま死ぬ」といった結果を伝え、「浄霊修法会」と呼ばれるセミナーへの参加を促すというものであった。しかもそのセミナーでは、相談者が持ち込んだ家系図をもとに、僧がもっともらしく講釈を垂れ、「この人の霊が災いを引き起こしている」「供養が必要だ」などと主張、100万円単位の供養料を請求するという、単価の高い料金を実にスムーズに搾り取れる流れが組み込まれていた。
入り口の“相談”は3,000円程度だったが、その先のセミナーで勧められる供養を行うと1件数百万円。まさに霊感商法の典型ともいうべきビジネスであった。また意外とその完成度は高く、折しもバブル景気の真っ只中ということもあり、彼は事前のシミュレーション通り、労せずしてまんまと数億円もの供養料をせしめることに成功したのである。
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