【テロ特集】内ゲバで使われる武器が鉄パイプや工業用バールなのはなぜ?

【テロ特集】内ゲバで使われる武器が鉄パイプや工業用バールなのはなぜ?の画像2※イメージ画像:『中核VS革マル(上) 』(講談社文庫)

 テロと聞いて思い浮かべる行為はなんだろうか。911テロや、北朝鮮による日本人拉致などを想像するかもしれない。最近では自称イスラム国による大規模な破壊活動などもあげられるだろう。

 テロとはテロリズムの略称であり、“政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義”(大辞泉、小学館)である。

 この定義にならえば、ネット上の殺害予告や爆破予告もテロ行為となり、日本国内においてテロは常に起こっているといえる。また、よく知られるものとしては、新左翼党派間で発生した内ゲバがあげられるだろう。新左翼とは、1960年代に共産党、社会党といった既存の左翼政党と袂を分かち、暴力革命などを掲げた急進派の総称である。各党派は、主導権争いや、理念の違いから、分裂を繰り返し、内ゲバによって多くの犠牲者を出してきた。

 もっとも凄惨な内ゲバとして思い出されるものが、1970年代に、中核派と革マル派との間で繰り広げられた抗争だ。両派はもともと、革共同という一つの組織であったが、1963年に分裂し、激しく敵対することになった。当初は集会やデモなどで遭遇すると、角材で相手を攻撃する集団戦であったものの、のちに特定の個人を狙う方法にシフトしていくことで、“確実に殺される”犠牲者が増えていった。

 1973年に中核派が、革マル派の活動家を襲撃し殺害したことを契機として、内ゲバは激化する。中には人違いで殺されてしまったとされる一般学生も含まれる。一連の抗争については立花隆の『中核VS革マル』(講談社文庫)に詳しい。

 1975年3月には、革マル派の手によって、中核派の最高指導者であった本多延嘉書記長が殺害されるに至り、抗争はさらに泥沼化。1980年代に入っても内ゲバは断続的に続き、両党派あわせて100名近い死者と、500名を超える負傷者を出した。

 これらの内ゲバでは使われる武器に特徴があった。鉄パイプや工業用バールのほか、マサカリやハンマーなどが用いられたのだ。殺傷を目的として相手を襲うならば、銃や刃物を用いるのではないだろうか。

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