DV、離婚、遺体解体…4人を殺害“透明”にした事件の真相! 死刑囚・風間博子は無実か?
ボディを透明にする――で、思い出す人も多いだろう。1993年、4人を殺害し“透明”になるまで切り刻んだ「埼玉愛犬家連続殺人事件」。事件の犯人として元夫とともに死刑判決が確定している風間博子だが、逮捕から一貫して殺人には関わっていないと主張、再審請求を行っている。
さいたま地裁で棄却され、即時抗告により東京高裁で再審は審理されていたが、11月6日棄却された。11月9日、内山成樹、大熊裕起、両弁護人が最高裁に対して特別抗告を行った。
■ボディを透明にする
風間博子とともに、死刑判決が下されているのは、元夫の関根元である。
関根は、自分の犯行のやり方を「ボディを透明にする」と言っていた。これは、被害者の遺体を隠すため、肉をサイコロ状に細かく切り刻み、骨を粉になるまで焼く方法だ。犯行の最も雄弁な証拠となる遺体を、ほとんど消滅させることができる。
関根は、殺害に関わっていることを自ら認めている。他の者の供述などを含めてみれば、事件は関根が引き起こしたことは明らかだ。だが、果たして風間は本当に関わっていたいたといえるのだろうか? 「死体損壊遺棄」の容疑で逮捕された男の脆弱な供述、さらに関根のDV行為…、これらが複雑に絡み合ったこの事件の真実を探る。
■山崎永幸という男
埼玉県熊谷で、関根と風間は、犬の繁殖や売買を行う「アフリカケンネル」を共同経営していた。そこで関根と親しくなり、「アフリカケンネル」役員になっていたのが、山﨑永幸だ。
93年以降、関根とトラブルがあった4人が行方不明になる。しかし遺体がないため、捜査は難航。だが、94年秋になって、山﨑の妻が、勤務先の建設会社から、5000万円を横領している事実を捜査当局がつかむ。痴話喧嘩のもつれから発生した事件で、被害者の処罰感情も弱いものであったが、山﨑への揺さぶりに使えると考え、捜査当局は妻を逮捕した。
山﨑は任意の取り調べに応じ、「死体を見せつけられた恐怖から、死体の運搬と、解体し終わった死体の遺棄を手伝った。殺人は、関根元と風間博子によるもの」などと供述した。この供述に基づいて、関根と風間は、95年1月5日逮捕された。この日、山﨑の妻は釈放されている。
■取調べの供述から一転「風間は無実」、5回発言
だが、関根と風間の公判に証人として出廷した山﨑は、次のように語った。
「(風間)博子さんは無実だと思います」「人も殺してないのに、何で死刑判決出んの?」
同様の発言を、一審と控訴審あわせて、山﨑は5回している。しかもかなり詳細に語りはじめたのだ。
■山崎の証言はなぜ変わった?
死体損壊遺棄の容疑で1月8日に逮捕された山﨑は、その後、埼玉地方検察庁熊谷支部の資料室と執務室での計2回、それぞれ妻と元妻と2人きりにさせてもらい、そこでセックスしたと法廷で証言している。これについて、担当だった岩橋検事も2人きりにさせたことは法廷で認めている。また、供述に当たって、岩橋検事は「起訴はしない。したとしてもすぐに保釈する」と約束したという。実際には山﨑は起訴され実刑判決を下されるのだが……。
セックスや妻の釈放、保釈の約束……、便宜供与と引き替えに得られた供述は、信用性が疑われるのが当然だ。その、もともと脆弱であった供述が「博子さんは無実」という証言によって法廷で覆されたのだから、一大事である。
だがこれを報じた新聞は一紙もなかった。風間が再審請求していることや、地裁の時も今回も、棄却の事実さえ新聞は報じないのだ。
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