全員消えたナハ部族、大量の首なし遺体! 先住民も恐れる秘境「ナハニ渓谷」の謎

■首を斬られた男たちの谷

 1905年、ウィリアム・マクラウドは、ナハニ渓谷から大量の金の塊を持ち帰った。多くの人に見せびらかせたものの、どこで見つけたのかは誰にも言わなかった。そして翌年、ウィリアムは兄弟のフランクともうひとりを連れて再びナハニ渓谷へと向かう。だが、それから2年が経過しても彼らは戻ってくることはなかった。険しい渓谷、陥落孔、野生動物など、大自然が生み出す障害に阻まれ、のたれ死んだのだと考えられた一方で、金鉱脈を発見して、それを誰にも教えずにいるのだという噂も広がった。

 結局、まもなくマクラウド兄弟はとある川のほとりで死体となって発見された。奇しくも、ふたりの体は木に縛られ、首を切られており、頭部はその場から消えていたという。また一緒に行ったとされる人物も蒸発していたため、不可解な事件は注目を集めたが、警察はこの事件を殺人事件だとはみなさなかった。


■再び、頭部なし遺体が

 マクラウド兄弟が死体となって発見された5年後、ノルウェーの探鉱者マーティン・ジョルゲンソンも金を求め、ナハニ渓谷へとやって来たひとりだ。最初、ジョルゲンソンの渓谷での生活は順調だった。小屋を建て、採掘を始め、ついにジョルゲンソンは金脈を掘り当てたのだ。

 ジョンゲルソンは同じく金を探しに近郊に来ていた元騎馬警官隊のプール・フィールドにそのことを手紙で伝えた。フィールドは急いでジョンゲルソンの小屋へ駆け付けたが、彼の姿は見当たらない。そこで当たりを捜索すると小屋から15メートルほど離れたところに斧が落ちていたのに気づく。そして、ジョルゲンソンが木々の後ろで頭部がない死体となって倒れていたのを発見した。


■次々と謎の遺体

 また1922年の冬のことである。第一次世界大戦の退役軍人のジョン・オブライエンが同地区のトゥイステッド・マウンテンの近くで猟をすべく滞在していた。ある時、フィールドの友達のジョナス・ラファティが彼の元を立ち寄ったが、姿は見当たらなかった。そこで、近くを探してみたところ、焚火のそばでひざまずきながら岩のように固まって凍死していたオブライエンを発見した。彼の手にはマッチ箱が握りしめられたままだったという(頭部があったのかどうかは不明)。

 さらに1945年には、オンタリオ州からやって来たある鉱夫は、寝袋の中で死体となって発見された。やはり彼も頭部が消えていたという。

 このように、金を求めてナハニ渓谷を訪れた人々は、頭部を失った死体となって発見されてきた。実際の被害者の数は不明だが、一説には1969年までに44人がナハニ渓谷で失踪しているともいわれる。やはり、先住民たちが恐れたように、ナハニ渓谷には何者かが潜んでいるのだろうか?

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