「ただ、雨の降らないとこで寝たい」池袋からドヤ街・山谷まで歩き道に倒れていた男と出会って
手慣れたものだ。この後は、付き添いながら、その足で今度は台東区区役所に行かねばならない。おじさんは無表情ながらほっとしたようだった。
上野まで付いて行こうかと聞くと、「ひとりで行けます」とのことだったので、ここらが引き際かなと思い、バスの停留所まで見送り、今度様子を見に行くからと言って別れた。
私が働いていた宿とすぐ近くだったものの、なんだか気が引けて結局おじさんの元を訪れることはなかった。まだあのドヤにいるのだろうか、まだ山谷にいるのだろうか、気になってもそこは触れないでおいた方がいいように思えた。今となっては、少しだけ後悔しているが…。
(写真・文 新納翔)
■新納 翔 Niiro Sho
写真家。1982年横浜生まれ。早稲田大学理工学部応用物理学科中退。日本の三大ドヤ街のひとつである「山谷」にて、実際に働きながら7年間写真を撮り続ける。写真集に『Another Side』(Libro Arte)等がある。2015年築地のギャラリー「ふげん社」にて、写真展「築地0景」を開催。写真評論家の飯沢耕太郎氏より高い評価を受ける。
ホームページ http://nerorism.rojo.jp/
Facebookページhttps://www.facebook.com/NiiroShoPhotography
山谷における作品はこちらより見ることが出来ます。
AnotherSide(2012)
●山谷の写真集は下記Amzonか私のウェブサイトよりご購入できます。サイトからであればサイン入りで郵送可能です。
山谷写真集『Another Side』
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2024.10.02 20:00心霊「ただ、雨の降らないとこで寝たい」池袋からドヤ街・山谷まで歩き道に倒れていた男と出会ってのページです。山谷、新納翔、ドヤ街などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで