住民の2%しか聴こえない! 世界各地で鳴り響く謎の音「ザ・ハム」とは?

●耳鳴り説
 外部に何も音を発するものがないのに、何らかの音が聞こえる耳鳴りは実際に起り得る症状であり、「ザ・ハム」の“疑惑”の説明としては筆頭にくるものだろう。しかし、耳鳴りを訴える人々はどの地域にも満遍なく存在するのだが、「ザ・ハム」はいくつかの特定の場所で報告されている現象である。また「ザ・ハム」が屋内でのみ聴こえると訴える人々もおり、基本的に場所は関係ないと思われる耳鳴りとして片付けるには説明がつかないことが多そうだ。

●自発耳音響放射(SOAE)説
 耳鳴りに類似するものとして挙げられるのが、自発耳音響放射(Spontaneous Otoacoustic Emission)だ。耳鳴りと違い、この自発耳音響放射は聴覚に異常がない者の38~60%に見られるということで、「ザ・ハム」の説明としても説得力がある。静かさを表現する形容に「しーん」という言葉があるが、まさに静かな場所で微かに聞こえてくる内耳から発せられる音が耳音響放射で、それがどんな状況下でも自発的に発せられるようになるのが自発耳音響放射である。ニューメキシコ州の「タオス・ハム」の解釈としても有力であるという。しかしながら耳鳴りと同じく、「ザ・ハム」がいくつかの特定の地域で報告されるものであることを説明するものにはなりそうもない。

 どの仮説も「ザ・ハム」の全容を説明するものにはならず依然として謎は残る。「タオス・ハム」が聴こえるというニューメキシコ州にはカールスバード近郊に地下核廃棄物中間貯蔵施設があり、ダルシーには軍関係の巨大地下施設もあるといわれている。これらの巨大な地下施設に何らかの関係があるのだろうか。

 また「ロズウェル事件」で有名なロズウェルのあるニューメキシコ州北部は、UFOの目撃情報が多発していることでも知られている。「ザ・ハム」の謎の解明にはあらゆる方向からのアプローチが必要とされているのかもしれない。
(文=仲田しんじ)

参考:「Disclose.tv」、「Live Science」、「Wikipedia」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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