住民の2%しか聴こえない! 世界各地で鳴り響く謎の音「ザ・ハム」とは?

 世界各地で出所が不明の“ハミング”が鳴り響いているという。いったい何が起っているというのだろうか――。

■聴こえるのは住民の2%だけという謎のハミング音

“ハミング”は世界中のいくつかの場所で報告されている。情報サイト「Disclose.tv」や「Live Science」などの記事によれば、この音は、英サウス・ウェスト・イングランドでは「ブリストル・ハム」と呼ばれ、また米ニューメキシコ州では「タオス・ハム」、同じくインディアナ州コーコモーでは「コーコモー・ハム」と名付けられて地元の人々の認知度も高いようだ。またカナダ・オンタリオ州ウィンザーでも「ウィンザー・ハム」が報告されている。そしてこれらの“ハミング”を総称して「ザ・ハム(The Hum)」と呼称されているのだ。

 報告されている地域は多いものの、それぞれの報告数は少ない。それというのも、2003年にイギリスの研究で、これらの「ザ・ハム」は各地域住民の約2%の人々にしか聴こえない現象であることが突き止められているのだ。

「タオス・ハム」の音 「YouTube」より

 たいていの場合、室内にいる時に聴こえてきて、また、昼より夜のほうが良く聴こえてくるということだ。当然のことではあるが、喧騒に包まれた都市部よりも静かな地域のほうがより鮮明に聴こえてくるという。さらに興味深いことに、「ザ・ハム」が知覚できる2%の人々のほとんどは55歳から70歳までの中高年であるという。そして時折聴こえる人もいれば、ほぼ一日中この音に苛まれている人もいて、その音量も人それぞれだというのである。音色のほうは“遠くの雷”や“ディーゼルエンジン”の音に近いという。

 したがって一日中、大音量で聴こえる人にとっては深刻な慢性疾患と同等の災いであり、頭痛や吐き気、めまい、鼻血、睡眠障害などの変調をきたす人も多く、この音が原因で自殺を図った人の例も報告されているということだ。健康被害をもたらしていることは明白なこの音だが、どんな原因が考えられるのだろうか?

 「ザ・ハム」を説明する有力な仮説は以下の4つである。

●機械設備説
 ディーゼルエンジンの音に似ているという訴えもあるこの音だが、実際に何らかの機械設備や工場の音であると考えるのはすこぶる妥当に思える。実際にウェスト・シアトルで報告された音は付近にある生コンクリート製造会社のバキュームポンプの音であることが判明し、ニュージーランド・ウェリントンの音は付近に停泊していた船のディーゼル発電機の音であることが特定されている。またカナダ・オンタリオ州ウィンザーの「ウィンザー・ハム」も同地域に近接するツーク島にある製鉄所から出ている音であると指摘されている。

 米インディアナ州コーコモーの「コーコモー・ハム」もまた当初は付近にある鋳造工場や合金製造工場から出ているものと疑われたのだが、検証を行なった結果必ずしもこれらの設備に起因するものではないことがわかっている。

●アンコウ説

 ユニークな仮説なのが、この音はアンコウ類の魚(midshipman fish)のオスが、繁殖期にメスに求愛する「鳴き声」であるというものだ。海底にはり付くように生息しているこの魚が発する鳴き声は米カリフォルニア州サウサリートなどでも確認されており、英ハンプシャー・ハイスの街で報告された「ザ・ハム」もまたこの魚の鳴き声であるということを、スコットランド海洋科学協会(SAMS)の研究者が主張している。着想としては面白いのだが、もちろんアンコウの繁殖期以外にも「ザ・ハム」は聴かれているし、海沿いだけでなく山間部の地域でも聴かれている事実をカバーできる仮説にはならない。

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