麻薬セックスはなぜ止められない? 脳の機能レベルで麻薬の危険性が理解できる本当の「麻薬の教育」【ググっても出ない毒薬の手帳】
■脳の複雑な神経細胞のはたらきを壊したら…
さて、受容体には種類があります。例えばドーパミンにはαとβがあってまた、神経経路によっても構造が違うのですが、詳しく解説しているとこれだけで終わって読者がいなくなるので省略しますが、神経の働きはこの受容体の多様性によってうま~く調整されていると思っておいてください。
そして、受容体が壊れたり異常に増えたり減ったりすることで、さまざまな脳の病気を引き起こすことが知られています。
また、さきほどリガンドをパチンコの玉としてたとえましたが、出過ぎたパチンコの玉を材料まで分解しちゃうのが、MAO(モノアミン酸化酵素)で、覚せい剤はこいつの阻害剤(インヒビター)であり、分泌亢進剤でもあるという、2つの役割を持っているので、パチンコの玉があふれにあふれて神経伝達がウオオオオオオって過剰になって、それが快感を司る中枢で起きると、マンモスウレピーィイイイとなるわけです。
脳というのは、神経細胞の集まりで、どういう理由かは不明ですが、それら神経細胞が様々な化学物質を使って情報伝達をしています。
その中にドーパミンを使って神経伝達をしている経路があって、
黒質線条体ドーパミン経路、中脳辺縁系ドーパミン経路、中脳皮質ドーパミン経路、漏斗下垂体ドーパミン経路など……これらは別に覚えなくてもいいのですが、とりわけ中脳辺縁系ドーパミン経路でマンモスウレピーになると、セックスや達成感の上限を覚せい剤が更新してしまうわけです。
そして、人間の脳はその「最高」の記憶を忘れることができないので、覚せい剤無しでは味気ない人生になってしまうというところが、覚せい剤のよくないところなわけです。
●まとめ 麻薬の危険な点3
1)効果が強すぎる
効果が強すぎて麻薬なしでの快感が味気ないモノとなってしまい、生涯において、幸せの上限を麻薬なしに更新することができず麻薬の奴隷になってしまう。→詳しくは「前編」
2)不潔である
麻薬自体が密造され密輸され密売されるという、隠れ潜む存在であるが故に、その中の不純物や汚染物がまったく見逃されていることが多い。→詳しくは「中編」
3)病気になる
脳に強く作用するものを長期間使うと神経自体が減ったり、バランス自体が崩壊して、知能障害から精神疾患、さらにはパーキンソン病のような手足を自由に動かすこともままならない病気になることもあります。脳というのが体の中枢である以上、そこに強く働きすぎるモノを体内に入れるとは、そういうことだということです。
当たり前といえば当たり前なのですが、こうした「ダメ」な理由をないがしろにして教育にあたらないのは、なんの使い道も利点も説明できずに、ただただ暗記を押しつける残念な教師のクソ授業と同じで無意味でしょう。
(文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ)
■くられ
添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、「アリエナイ理科ノ教科書」の著者、サイエンスライター。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。
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【これまでの猛毒一覧】
・青酸カリ「前編」「後編」
・リシン「前編」「後編」
・クロロホルム「前編」「後編」
・一酸化炭素「前編」「後編」
・覚せい剤「前編」「中編」「後編」
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2024.10.02 20:00心霊麻薬セックスはなぜ止められない? 脳の機能レベルで麻薬の危険性が理解できる本当の「麻薬の教育」【ググっても出ない毒薬の手帳】のページです。麻薬、覚せい剤、くられ、ググっても出ない毒薬の手帳などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで