痩せ細り、毛も抜かれ… 虐待を受けた“トラウマ犬”が人間を拒絶する様子とは?
部屋の片隅で背をかがめて人目を避けるように壁に向かい、身じろぎもしないある一頭の犬――。アイルランドの動物保護団体「PAWS Animal Rescue」に保護されたカーラという名の雌犬だ。
■極度なトラウマを抱えて保護された猟犬
公開された動画は去年7月に保護された直後のものである。ガリガリで毛も所々はげており、職員の呼びかけにも全く応じず、何より人間を拒絶するかのように完全に心を閉ざしている様子だ。
獣医の診断では、特に体の健康状態に問題はなく、極度のトラウマを抱えた状態にあり精神的ダメージを負っているのだろうとのこと。
カーラは猟犬だが、通常この種類の犬に狩りを手伝わせた後は、餌などの物理的な報酬の他に(主人が)たっぷりと褒めたり慰めたりする精神的なご褒美も非常に大事なこととされている。では保護されるまで彼女の身には一体何が起こっていたのだろうか? 職員らはカーラが数年にわたり、ひどい虐待を受け続けたのではないかとみているという。
PAWSではカーラの様子を動画で公開するとともに、心の傷を癒そうと手厚く世話をした。動画は人々の関心を集め、無事に新しい里親も決まった。
その後、見違えるほどに元気を取り戻したカーラは他の保護された犬とじゃれあってて大声で吠えるまでになったのだ。里親となったマイケルさんとテレサさんはその生まれ変わったカーラの姿を動画で公開している。毛並みも立派になり態度も堂々とした様子は、以前と同じ犬とはにわかには信じ難いほどである。
動物虐待とは「動物の心身に肉体的な苦痛・精神的な苦痛・多大なストレスを与えること」だ。世間的に騒がれるのは残虐な殺傷事件(意図的虐待)が多いが、身近で頻繁に起こっているのは必要な世話をしないネグレクト(飼育放棄)である。
世話をしているつもりでも病気を治療せず放置したり、ゴミや糞尿まみれの不衛生な環境や狭い場所に閉じ込めて飼育していたり、短い鎖につなぎっぱなしであったり……。もし自覚がなくとも、これらも明らかな虐待なのである。
最近ニュースでも取り上げられる人間の子どもたちの間のイジメや、親による幼児虐待の問題と重なるようで、なんだかとても切ない。外部に助けを求められない小さな子どもや動物たちだけに、虐待を受け続けた心の闇は深く傷は計り知れないだろう。第2、第3のカーラが現れてこないことを祈りたい。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」、「Express」、ほか
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