「パレスチナは日本人に失望している」国際手配された映画監督・足立正生インタビュー

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■わけがわからなくていい、やりたいことをやる

――先ほど監督はマルクス・レーニン主義で無神論者であるという話がありましたが、映画の中で怨念のような目に見えないものを表現されてるじゃないですか?

足立 さっきは便利だからそういう言い方をしたけど、つまり私はゲリラで共産主義ゲリラということに規定されてることをみなさんは知ってるから、マルクス・レーニン主義というけれども、私自身は怪しいんですよ。

 マルクス・レーニン主義以前に、シュールレアリズムっていうのに出会って、そこから入っていってるからね。自分自身をマルクス・レーニリストではなくシュールレアリストだと思ってるのね。

 マルクス・レーニン主義もそうだけど、シュールレアリストも、そういった観念論というのを否定するわけで、観念の産物である神を信じることなんてあり得ないわけですよ。さっきの無神論者という発言はそういう意味です。

 元々高校時代は演劇青年だったんですよ。演劇っていうのは約束事が多くて、もっと自由にできる映画の方にいくんだけど「自分につくりたいものがあるのか?」「どうやってつくるんだ?」と、思って本当に映画浸けくらいに映画を観てまわった。だけど、自分がつくりたい映画も「あ!」っていう感じもない。

 そこで20歳のときに、アンドレ・ブルトンがまとめたという「シュールレアリズム宣言」を見たら「わけがわからなくていいんだ。あなたはやりたいことをやればいいんだ」って書いてあるんだよ。「あ!コレなんだ!」と。

「何かルールに沿ってやるなんて考える必要はないんだ」というのがわかって、ものすごく気が楽になりましたね。

danjikigeinin3_2.jpg足立正生監督とともに

――ちなみに監督は幽霊とか妖怪とかは信じないんですか?

足立 だから言ったじゃん。神様信じないって(笑)。幽霊がいたら会いにいきたいよ(笑)。ただね、夜も夢を見るけど、白昼夢を見たりすることもあったね。

 この映画と一緒でさ、3日ぐらい腹が減ると座禅組んでるのと同じで、すーっと白昼夢に入って行く。だから、世間の人とは歯車がずっとズレてる感じはあったね。でも、映画つくって自分を修正して、まともにしてるってところはありますね(笑)。


 筆者は映画「断食芸人」試写会を2回で観にいったのだが、足立映画ファンであれば、この映画がかなりわかりやすく感じられるだろう。足立映画を初めて観る人であれば、根底に一貫としてあるものを見失わずにこの映画を観ることで、この映画の伝えていることを理解したいと心から欲するだろう。再び試写会に訪れた筆者の気持ちを理解してもらえるかもしれない。生命で抗う映画「断食芸人」を是非感じて欲しい。


■「断食芸人」
公式ホームページ https://danjikigeinin.wordpress.com
2月27日より渋谷ユーロスペースを皮切りに、全国32カ所で上映。

■足立正生
1939年生まれ。日本大学芸術学部映画学科在学中に自主制作した『鎖陰』で一躍脚光を浴びる。大学中退後、若松孝二の独立プロダクションに加わり、性と革命を主題にした前衛的なピンク映画の脚本を量産する。監督としても1966年に『堕胎』で商業デビュー。
1971年にカンヌ映画祭の帰路、故若松孝二監督とパレスチナへ渡り、パレスチナ解放人民戦線のゲリラ隊に加わり共闘しつつ、パレスチナゲリラの日常を描いた『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を撮影・製作。
1974年重信房子率いる日本赤軍に合流、国際指名手配される。1997年にはレバノン・ルミエ刑務所にて逮捕抑留。2000年3月刑期満了、身柄を日本へ強制送還。
2006年、赤軍メンバーの岡本公三をモデルに描いた『幽閉者 テロリスト』で35年ぶりにメガホンを取り、日本での創作活動を再開。そして今年、足立正生監督復帰2作目がこの「断食芸人」だ。

■取材・文=ISHIYA
JAPANESE HARD CORE PUNKバンド FORWARDのボーカルでありフリーライター。
REAL SOUND」「INDIES INFO 連載コラム」「PUNK ROCK ISSUE BOLLOCKS 連載コラム」「SUUMOジャーナル」「土木建築系総合カルチャーマガジン『BLUES’ MAGAZINE』」で執筆中。

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