大島てる・事故物件集サイト運営者インタビュー「誰かが隠蔽している事故情報こそ掲載する」

【住む人の利益のために、死を声高に叫ぶ】『大島てる』の目的はそこにある。

大島「そもそも不動産というものは、同じものが存在しないんです。1つ1つ、全部条件が異なって価格が違うのです。マンションの隣同士の部屋ならだいたい同じになるでしょうけど、それでも角部屋かどうかなどで変わってきますし、今お話ししているような事件があった部屋とその隣の何も起きていない部屋とでは、やはり大きな差が出てくるわけで、結局『同じものはない』ということになります。そこが他の商品とは異なっていて、ひとつ一つの違いに注目する必要があります」

 祖母の代から不動産業者としてその売買に携わってきた大島てる氏ならではのわかりやすい視点である。ちなみに、現在はその不動産業からは撤退し、サイト運営を中心としたウェブ制作に完全移行している。

大島「そうですね。確かに、不動産業界に縁がなかったら事故物件に関心を持ったかわかりません。今の時期は引っ越しシーズンですから、『住みたい街ランキング』なんかが出ていますが、それは『面』の情報ですよね。

 そして、『××線沿線が良い』なんていうのが『線』の話。 さらに、1軒1軒事故物件か否かというのは『点』の話です。2次元・1次元・0次元というわけです。賢明な読者だったら『吉祥寺が良い』と言われても、『吉祥寺にも良いところと悪いところがある』ということに気づくはずです。だからこそ『点』的な情報が重要なのです」

 さて、そもそも事故物件サイトにどうしてクレームが寄せられないのかと不思議に思う方もいるだろう。ということで、そのあたりのカラクリも改めて聞いてみた。

大島「今は投稿サイトなのですが、『トカナ』さんに取り上げていただくことによって初めて『大島てる』を知ったという方も出てくるはずです。知名度が上がれば上がるほど、いろいろな方がスマホで『大島てる』にアクセスして、誤情報に対しては『違うよ』と苦情を寄せるだろうし、漏れがあれば『俺、知ってるよ』と教えてくれるかもしれない。ただ、一般の皆さんからのタレコミですから、間違っている可能性もある。でも、それも、衆人環視のような状況になっていますから、また『間違ってるよ』と指摘されて修正される。指摘はほったらかしにはされませんから。そうすると、長い目で見れば正しい情報だけが残るという流れになります。ウィキペディアなどと同じようなことができるのです。知名度がもっともっと上がれば、どんどんその方向に進めるというわけです」

 極端にいえば、大島氏が何もしなくても、事故物件の情報は集まり、その中に含まれた誤情報も、自浄作用的に訂正されていくのである。大島氏がしなければならないのは、正しいクレームへの修正対応のみ。

大島「たとえばさっきの名古屋の殺人事件も、私自身は、『大島てる』に投稿があって初めて知ったんです。まだあまり時間が経っていませんが、その投稿が誤りなら、大家さんとか不動産会社から何がしかの苦情があるはずなんですよ。逆に無ければ、投稿された情報は正しいのだろうと。

 苦情は苦情でも、『情報としては正しいんだけど、迷惑だ』という苦情もあります。その場合でも、投稿された情報が正しいことに違いありませんよね。ですから、アクションに対してはとにかく何らかのリアクションが欲しいということなんですが、おかげさまでどんどん寄せられるようになってきている。

 たとえばテレビで間違ったことを言えば、すぐに苦情の電話が来ると思うんですが、できれば『大島てる』も同じように、すぐにフィードバックがあるような状況にしたいですね。実際、かなりそうなってきていて、何もしなくてもタレコミなり苦情なりが寄せられるようになってきています」


 前回取材した1年前と比べても、クレームを含めたリアクション数は増えているとのこと。

大島「相変わらず把握できている事件・事故は氷山の一角ですけど、リアクションが増えてきていますし、結果として情報の確度に関してはどんどん高くなっています。今回『トカナ』さんに取り上げていただければ、またさらに改善されるのではないかと期待しています」

 しかし、クレームが多ければ多いほど、情報としての確度は高くなっていく。

大島「だから、いろんな層に訴えかけていきたいんです。どう頑張ってもおじいさん・おばあさんのようにインターネットにアクセスをしない世代には届かないんでしょうけど、続けていればいずれ全員になると」

 テレビや雑誌、ネットへの露出も、イベント活動も、全てが事故物件情報の確度を高めるための行動なのだ。

――今の若者たちがおじいさんになるまで続けていけばいいわけですからね。

大島「そうです(笑)。小学生はちょっと早いですけど、中学生くらいからイベントに来てくれていますからね。昔から慣れ親しんでいる若い層には期待しています」

 その子供たちが成人した頃――国民的不動産情報サイトとして、『大島てる』か利用される日がやってくるのかもしれない。
(取材=福田光睦/Modern Freaks Inc. 代表)

■『大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイトはコチラをクリック


【大島てる氏出演!“死文化”トークライブ情報】

大島てる・事故物件集サイト運営者インタビュー「誰かが隠蔽している事故情報こそ掲載する」の画像3

死に暴露は必要か!? 死にユーモアは必要か!? 
2016年4月、新たな《死への旅》が始まる——

「死から人間を探求する“死文化”トークライブ『Death Culture Summit(デスカルチャー・サミット)』

 今日起きた不幸を記憶するサイト『Black Carender(ブラック・カレンダー)』開設記念。現代日本社会の暗部として葬られ続ける“死文化”の第一人者たちが集う、真実のトークライブ。

【開催日時】
4月12日(火)19時30分スタート(18時30分開場)

【出演】
大島てる(事故物件公示サイト「大島てる」代表)
末井昭(作家・著書『自殺』他/編集者)
角由紀子(不思議メディア『TOCANA』編集長)
●ゲスト追加出演アリ 詳細は決定後にお知らせします●
MC=福田光睦(『Black Calendar』編集人/Modern Freaks Inc. 代表)

【入場料金】=2,000円(前売り)2,500円(当日)※飲食代別
【会場】東京・新宿「ロフトプラスワン」
tel.03-3205-6864/http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/
【チケット前売り】イープラスで近日発売予定
【主催】『Black Calendar』by Modern Freaks Inc.
【協力】知的好奇心の扉『TOCANA(トカナ)』


■4月5日にもロフトプラスワンWESTに大島てるが降臨!

大島てるがやって来る!!事故物件ナイト〜大阪炎上、事故の日の祭典〜

【開催日時】
4月5日(火)19時30分スタート(18時30分開場)

【出演】
大島てる(事故物件公示サイト「大島てる」代表)
村田らむ(ライター、ホームレススーパースター列伝、著者)
松原タニシ(事故物件住みます芸人)
小林タクオ(Loft PlusOne West)

【入場料金】=2,000円(前売り)2,500円(当日)※共に1オーダー必須(¥500以上)
【会場】大阪・日本橋駅「ロフトプラスワンWEST」
TEL:06-6211-5592 http://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/42614
【チケット前売り】ローソンチケット【L:52352】にて発売中!

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Modern Freaks Inc.代表 地下編集者という名の荒野に棄てられた人間賛歌蒐集業。『Black Calendar』管理人 『下ー1グランプリ』『デスカルチャーサミット』『ヤリマン甲子園/ヤリマン五輪』主宰 『ネットで噂のヤバイニュース超真相』企画・監督 劇映画『YARIMAN HUNTER』準備中! 
ツイッター→https://twitter.com/mitutika

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