ナベツネは「天皇制打倒」の元共産党員だった! 保守系路線に鞍替えした理由とスパイ疑惑とは?

読売巨人軍の高木京介投手が野球賭博に関与していたことの責任を取って、渡辺恒雄球団最高顧問が辞任することが、3月8日明らかになった。だが、代表取締役会長・主筆として、渡辺恒雄氏が読売新聞グループに君臨し続けることに変わりはない。
読売新聞は保守系と見られるが、1934(昭和9)年生まれの渡辺は戦時下で反軍青年であった。戦後は「天皇制打倒」の主張に共感して、日本共産党に入党したことがある。読売新聞に入社してからの記者時代には、武装闘争路線を掲げていた日本共産党の山岳アジトに単身で乗り込んで取材し、スクープしたこともある。
日中戦争が深まる1939(昭和14)年、渡辺は開成中学に入学し、哲学書を読みふける日々を過ごす。軍国主義を吹聴する校長ら教員を、闇夜に襲って殴ったこともあった。
1945(昭和20)年4月、渡辺は現在の東京大学である、東京帝国大学文学部哲学科に入学する。太平洋戦争で徴兵され、この時代の軍隊生活の例に漏れず、上官から殴る蹴るの暴行を受けた。
その年の8月、日本が敗戦すると、渡辺は復学。東大のキャンパスに戻ってみると、保守政党から社会党まで「天皇制護持」だったが、共産党だけが「天皇制打倒」を宣言していた。軍隊での暴行も、天皇の名の下に行われていた。「天皇制と軍隊の二つを叩き潰すためにどうすればいいか、それが共産党だ」と渡辺は考えた。
同じ年の12月には、日本共産党に入党を申し込み、下部組織である日本青年共産同盟のメンバーとして活動を始める。街のビラ貼り、他の学校へのオルグなどから始まり、教員の解雇問題のあった女子校を実力占拠するなど、活躍した。母校である東京高等学校に行き、インターハイを目指す野球部員に「野球なんてくだらないものをする時ではない」と活動に誘ったこともある。そして、東大の学生党員約200名のトップに立つまでに至った。
だが渡辺はある日、「党員は軍隊的鉄の規律を厳守せよ」と書かれたビラを目にして、それまで自分が感じていた違和感にはっきり気づくことになる。共産党は上意下達のタテ社会であり、軍隊とそっくりだったのだ。天皇制を否定していた渡辺だが、「報いられることなき献身」を求めるマルクス主義は、神なき宗教だ、と確信する。「極左主義の克服」を主張した渡辺だが、抗争に敗れ、共産党本部から「警察のスパイ」とレッテルを貼られ、除名されることになる。
1950(昭和25)年3月、渡辺は東大を卒業すると、読売新聞社に入社した。
一方、日本共産党は1951(昭和26)年、第4回全国協議会で武装闘争路線を明確にしていた。農村に“解放区”を作ることを目指す「山村工作隊」や、「中核自衛隊」などの非公然組織が作られ、各地で火焔瓶を用いた交番の焼き討ちなどが行われた。
1952(昭和27)年、4月1日、奥多摩の小河内村に作られた、山村工作隊のアジトの1つに渡辺は単身で赴く。その3日前には、小河内工作隊の23名が警察隊に包囲されて逮捕されていた。
渡辺が訪れたアジトのリーダーは、後に作家となる高史明であった。その時のことは高の著作『闇を喰む』(角川書店)に記されている。
「昼前だった。向かいの尾根に出ていた見張りから、異常を告げる合図があった。何者かが、樵小屋に近づいてきたのである。その知らせは、即座に全員に伝えられた。私たちは、それぞれに身を潜めて事態に備えた。遙かな一本路を見下ろしていると、やがて一人の男が姿を現した。一人だけである」
渡辺は工作隊のメンバーたちに捉えられ、小屋に連れてこられる。「このまま帰せば、明日にでも、どっと警官隊が押し寄せてくるだろう」「どうだい、殺った方が安全じゃないのか」「ここで片付けてしまうんだ! 簡単じゃないか!」の声がメンバーから上がる。
新聞記者だと名乗る渡辺に、警察の手先ではないかとメンバーたちは訝った。
「俺たちは、あんたに危害を加えようとは思わない。新聞記者であろうと、なかろうとだ。俺たちは、ただみんなに俺たちの願いを知ってもらいたいだけだ。俺たちが、ここにきているのは、自分たちの楽を求めての事じゃない。それを知ってほしいと思う」
そう言って、他のメンバーを制して、高はインタビューに応じた。
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