「死体をバラバラにして、顔の皮をキレイに剥がす」ブラジル・スラム街に住む男に聞いたファベーラの日常!
■殺しは日常茶飯事、死体処理係も
そんなギャングの抗争では殺人は当たり前で、死体処理の方法も確立されているそうだ。かつてカルロスはこんなことを言っていた。
「これはカカ(ファベーラギャングのひとり)にあげよう。カカは死体をバラバラにする専門の人間で、キレイに顔の皮を剥がせるんだ。カカは日本が好きだから、今度一緒に来ようかな」
一番手っ取り早い死体処理の方法は、「顔の皮をはがしておく」ことらしい。
「カカなら、誰を殺したかが絶対にわからないように、簡単に処理してくれるんだ」と、カルロス。
ほかにも武器調達係、実行部隊、死体運搬係など細分化されているようで、実行部隊には子どもも含まれると聞いて驚いた。「そんなのファベーラでは当たり前だよ」と笑いながら話すカルロス。いくら友人と言えど、少し恐ろしくもなった。
しかし、俺たち日本人の友人にはとても優しく、悩みも聞いてくれたし、相談にものってくれた。色んな話をして一緒に遊んだカルロス。ファベーラの自宅には小さい娘と奥さんもいるようで、いつも子どものことを気にかけていた。一度カルロスの子どもに会ったことがあるが、ものすごくかわいい女の子だった。あの子がファベーラでギャングの一員となるなんて……。きっと、カルロスも嫌だったんじゃないだろうか。
いったい、カルロスは日本に何をしに来ていたのだろう? それはいまだに謎だ。仕事とは言っていたが、その内容を打ち明けてくれることはなかった。
最後に日本でカルロスに会ってからもう10年以上たつ。たまにメールのやりとりはするが、まだ生きている。元気そうなので、ひょっとしたらファベーラから脱出できたのかもしれない。それとも、カルロスはまだファベーラに住みながらギャングを続けているのだろうか。今度会う機会があれば聞いてみよう。それはたぶん俺がブラジルを訪れない限りやってこないと思うが、そのころにまだカルロスが生きていてくれることを願うばかりだ。
(文=青天 青)
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