生まれながら全盲の人も身長は見えている?先祖から受け継いだ“特殊能力”が判明
オペラで最も低い声を担当するバスの歌手や、低音の魅力で迫るジャズのボーカルなどは、概して女性から好感を持たれる存在であるという。では、なぜ女性は低音ボイスの男性に魅かれるのか? それは「低い声の男性はたいてい背が高いと連想させるから」であるというなんのヒネリもない(!?)理由のようだ。そして実際に、我々はその人の声を聞いただけでおおよその体格がわかるという。
■男性の声だけでその体格がわかる!?
同じような能力、容姿、経済力の男性だったとした場合、身も蓋もない話にはなってしまうが、女性にモテるかどうかの最後の決定的な要素は“身長”であることが各種の研究からわかっている。もちろん背の低い男性が好きだという女性もいるし、定量化できる要素を超えた“相性”の問題など、それぞれの個別具体的な“ストーリー”が恋愛を左右するのは当然だが、おおよその傾向として、身長が高い男性のほうが好まれるのは統計的事実であるようだ。
最近は電子メールのやりとりだけで手続きが成立することも増えたが、仕事や問い合わせなどで電話によってコンタクトを取るケースもまだ少なくはないだろう。その場合、人は知らず知らずのうちに電話の向こうの担当者の体格などの外見を、その声から判断して思い描いているといわれている。あらためてそういわれてみれば、誰もが思い当たるフシがあるのではないだろうか。そしてこの「声から思い描く人物像」は、我々の想像以上に正確なのだという。
英・サセックス大学の心理学者、カタルツィナ・ピザンスキ博士は、我々がどれほど正確にその人の声から身長を推察することができるのか、実験を行っている。
実験に参加したのは、20~65歳の健康な被験者91人で、生まれながら全盲の人と、人生の途中で全盲になった人に加えて、通常の視力を持つ健常者の3つのタイプに分かれている。実験参加者には、身長の高低がはっきりしている男性2人ずつ、計30組の声を聞いてもらい、どちらの男性が背が高いかを判別することが求められた。映像はないため、健常者も声だけを材料に身長を判断することになる。はたして実験の結果やいかに……。
■声で体格を察知する能力を、人類は進化とともに発達させてきた
実験の結果、3つのグループのいずれもが、予想を上回るきわめて高い正解率で男性の身長の高低を判別したということだ。特に2人の身長差が大きいほど、正解率も高くなったという。聴覚が鋭いと言われている全盲の人々は、確かに声の特質を聞き分ける能力に優れているのだが、この場合は健常者との間の正解率の差はないということだ。つまり、我々のほとんどすべてが、声だけを頼りにその男性のおおよその身長を推察できるということになる。そしてこれは、我々人類が集団生活を送るようになった古代にまで遡って培われてきた能力だということだ。
身長が高ければ声帯も長くなり、相対的に低い声が出るようになるのは周知の事実ではある。しかし、意識するとしないとに関わらず、判断要素は単なる声の音程(pitch)だけでなく、フォルマントと呼ばれる母音の周波数、共鳴の度合い(resonances)などを加味して、総合的な判断を下しているということである。
「これまでの人類社会において、背の高い男性はより健康だと考えられてきました。身長の低い男性に比べて支配的な立場に立つ傾向があり、経済力も高い長身の男性をパートナーにすることで、子どもをたくさん授かることができると期待され、女性にとってはパートナーとして好ましい存在だったのです」とカタルツィナ・ピザンスキ博士は英紙「Daily Mail」の取材に応えている。長身の男性には、かくも歴史的に好ましい印象が積み重ねられてきていたのである。
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2024.10.02 20:00心霊生まれながら全盲の人も身長は見えている?先祖から受け継いだ“特殊能力”が判明のページです。進化、仲田しんじ、古代、声、音などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで