四肢切断を望み、自分の肉を食べ…ホラーすぎる“激レア”精神疾患4例
ツメを噛むクセが止められずついつい深爪してしまったり、治りかけている傷のかさぶたを衝動的に剥がしてしまい回復が遅れたりした経験を持つ人はそれほど珍しくないという。そして世の中には、さらに不可解で“ホラー”な行為の常習者もいる。
■4つの奇妙な精神疾患
精神疾患といえば、統合失調症やうつ病などがまず最初に思い浮かんでくるが、非常にレアできわめて不可解で、なおかつ“ホラー”な疾患が報告されている。6月2日付けの医学系情報サイト「Medical Daily」が特に奇妙な4つの精神疾患を紹介、解説した。
●カプグラ症候群(Capgras syndrome)
毎日顔を合わせている家族や友人、同僚など身近な人物に、何かのきっかけで今までとはちょっと異なる印象を抱いたことはないだろうか。その人物に対して、今まで気づかなかった“新たな一面”を垣間見る時もあると思うが、姿かたちは似ていてもその人物が今までとは違う“ニセモノ”だと感じられてきたならちょっと問題だろう。そしてこのカプグラ症候群は、目の前にいる身近な人物がなんらかの理由で別の人間に入れ代わっていると認識してしまう妄想型の精神疾患だ。
1991年の報告では74歳の女性の症例が紹介されている。女性は“それまで”自身初めての精神疾患で入院していたのだが、退院して家に戻ってからというものの“この夫は別の人間”と言い出してきかなくなったのだ。誰か別の人間が夫になりすましているのだと主張して聞く耳を持たないのである。
不思議なことに夫だけが“ニセモノ”と決めつけ、家族のほかのメンバーにはそれまでと同じように接していたということだ。彼女にしてみれば、このニセモノの夫と一緒にいることは耐えられないことであり、夜は夫とは別の部屋に行きカギをかけて眠りに就いていたということだ。もしものために息子に拳銃を用意してくれるようにも頼んでいたという。
医師の判断で再びこの女性は入院させられることになったのだが、部屋から連れ出す際には大暴れしてスタッフに対し激しく抵抗したということだ。
今のところ、この症状に対する有効な説明はないようだ。研究者の幾人かは、脳梗塞や脳震とう、薬物の過剰服用など脳へのダメージによる認知機能障害と考え、またある専門家は潜在意識下の問題であると主張しているようである。この女性の例でもわかるように、統合失調症や神経変性疾患(neurodegenerative disease)などを発症してからこのカプグラ症候群が併発するケースが多いということだ。
●自食症(autophagia)
自身の身体を食べてしまうショッキングな症状がこの自食症だ。ツメを噛むクセなども広い意味で軽度の自食症であると考えられている。しかしまだ医学上の疾患としては正式には分類されていないようだ。
66歳の男性の症例は衝撃的で、不眠症の症状を発端にして“自己切断行為”に発展したという。やはり最初はツメを噛む行為からはじまったということだが、それがどんどんエスカレートしていき、なんと自分の指を噛みちぎる行為に発展する。そして6年間かけて両手のすべての指を根元まで貪り尽くしてしまったのだ。
似た症例としてはレッシュ・ナイハン症候群(Lesch-Nyhan syndrome)があり、尿酸の代謝酵素に関わる遺伝子異常によって起こる遺伝子疾患である。一種の脳性運動障害で、幼児期の症状の中には、自分の歯で下唇を噛んだり、手の指を口の中に入れて噛む、壁や柱などに頭や顔、手などをぶつけるといった自傷行為が含まれている。しかし年齢を重ねると自傷行為は和らいでくるということだ。
一方で自食症のほうは一過性のものではなく、むしろ成人してからのほうが噛む力も強くなり深刻な事態に陥ることは明らかだ。現在専門家の間では治療法が模索されているが、まだ有効な手段は見つかっていないようである。
●コタール症候群(Cotard syndrome)
「自分はもう、死んでいる」と、まさに逆バージョン北斗神拳(!?)のような思い込みに固執している症状がコタール症候群である。“ゾンビ病”や“ウォーキング・デッド病”などとも呼ばれ、まさに症状の不気味さを物語っている。派生型としては、もはや自分は存在していないという考えや、血液や内臓がないという思い込みもあるということだ。
フランス人神経学者のジュール・コタールによって1880年に発見され、その名がついた症候群だが、その最初のケースは“マドモアゼルX”と呼ばれた患者である。ある時期にこのマドモアゼルXは、内臓がすべて失われたと感じ、永久に続く地獄に堕ちたという認識とともにコタール症候群を発症した。そして“もう死んでいる”自分にとって、食事はまったく必要のないものであるとして、絶食を続けた末に最後は餓死にいたったのだ。
薬の副作用だとする説や、脳の扁桃体(amygdala)の機能障害であるという説明まで幅広い解釈がなされているコタール症候群だが、いくつかのケースにおいて投薬や電極刺激療法による治療が成功を収めている。しかしこれもまた今後のさらなる研究が必要とされている症状であることはいうまでもない。
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