四肢切断を望み、自分の肉を食べ…ホラーすぎる“激レア”精神疾患4例

●身体完全同一性障害(Body Integrity Identity Disorder)

 なかなか複雑な名称の身体完全同一性障害(BIID)だが、いわゆる“五体満足”な状態にあることに強い違和感を感じている症状である。つまり自分は身体障がい者であるはずだと強く思い込んでいるのだ。

 そのため、自ら進んで障がい者になることを望み、実際に実行する者もいるのだ。以前トカナで紹介したが、アメリカ・ノースカロライナ州に住むジュエル・シュピングさん(30歳)が、2006年に液体パイプクリーナーを自ら両目に点眼して失明している。

 シュピングさんは失明につながるこの決定的行為を行うはるか以前から、外出時にはサングラスをかけて白いステッキを持つなどして視覚障がい者を装っており、点字も独学でマスター。その“準備”にぬかりはなかったのだ。

 ここまで確固たる意志で行われてしまえば、“自己責任”のうえでの行為ということで、たとえば性同一性障がい者が自らの身体に手を加えることと同種のものにも思えてくる。つまり性同一性障がい者のように、現状の自分の身体と“本来の自分の姿”の大きなギャップを埋め合わせる行為ということになるのだ。しかしある専門家からは、自分の醜い部分を過度に気にする醜形恐怖症(Body Dysmorphic Disorder)に起因する精神疾患であるという指摘もあるようだ。

 また、四肢切断を希望したBIID患者に対し、医師が実際に“健康な脚”を切断したケースが2002年にスコットランドで起こっている。これが世に知られるや、この医師には激しい非難の言葉が浴びせられているという。そのような手術を引き受けてはいけないという世論が強いようだ。

 自傷行為も現象としては一種の暴力行為だろう。周囲に対しても自分に対しても大きな損害を与えかねないこれら稀な精神疾患の数々だが、治療法の探求はもちろんのこと、まずは広く理解が求められているといえそうだ。

(文=仲田しんじ)


参考:「Daily Mail」、ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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