大阪の“首吊り廃墟”でトンでもない恐怖体験! 心霊スポット突撃ライターの暴走計画とは?
――すでに撮影取材を終えられているそうですが、まずはじめはどこに行かれたんですか?
ギンティ:大阪の新世界にある首吊り廃墟です。この廃墟で、僕らの友人が恐ろしい体験をしているんですよ。彼が偶然、新世界にある三階建ての廃墟を発見して中を覗くと、一階の部屋の天井から何足もの靴や等身大の人形が吊るされていたんです。その人形は廃材に古着を着せて作った稚拙なもので、頭に被せられたフードの透き間から出ている頭髪は太い毛糸で作られていて、手袋で作られた両手はミッキーマウスの手のように膨らんでいて。人形の下にはコールタール状の液体が溜まっている。あまりに異様な光景と遭遇した彼は後日、友人と共に再び廃墟を訪れるんです。その友人が帰りにこんなことを呟くんです。「あの廃墟の臭い、どこかで嗅いだことがある…」って。
力夫:そして、その人が翌日、気づくんですよ。「あの臭いは、インドを旅行したときに行ったガンジス河で見た死体の臭いと一緒だ!」って。それで彼は警察に通報したら、やはり人形は死体だった。頭髪が毛糸のように見えたのは、腐って液化した肉が髪の毛に絡みついていたから。手がミッキーマウスのように見えたのは、液化した肉が手袋の中でパンパンに溜まっていたから。そして、警察がここで見つかった死体はこれだけではなく、廃墟の屋上には片腕がない白骨死体、その下の階では白骨化した首吊り死体がそれぞれ発見されたと教えてくれたそうですよ。
――すさまじい場所ですが、その廃墟はすでに2010年に発売された『怪談新耳袋殴りこみ! 【西日本編】』で取り上げられています。なぜ、一度行ったことがある場所から始められたのですか?
ギンティ:実は、その『【西日本編】』の取材後、別の用事で大阪へ出かけた際に首吊り廃墟に寄ってみたら、以前吊るされていたものとは、まったく別の新しい靴が吊るされていたんです! 行くたびに姿を変え、多数の遺体が発見されている廃墟!! このいくつもの謎に包まれた場所こそ、新しい門出にふさわしいのではないかと思ったんですよ。
ふたりで作品撮りをすると決めた時、ちょうど『新耳袋 最強伝説』(角川ホラー文庫)という文庫本にとりかかっていたので、担当編集に、本に首吊り廃墟を突撃する様を収録することを提案したんですよ。取材になれば、交通費を持ってもらえますからね(苦笑)。その取材に、力夫も同行してもらい動画を撮影して作品にしようと考えたんです。
――なるほど、本の取材と『スーサイド・ララバイ 今夜決めてやる』の撮影とを同時に行ったんですね。それで、その廃墟ではどのようなことをされたのでしょうか?
力夫:内部で、第一発見者が見た光景を再現しようとしました。彼が見た、首吊死体を再現するため、ふたりで人形を作って靴と一緒に吊るそうとしたんです。人形は寸法を間違えてしまい2メートルを超える大男になってしまいましたけど(笑)。
――想像するだけでも呪われそうですね…。
ギンティ:だけど実行しようと準備していたら、力夫が『人形と靴を吊るだけじゃ物足りないな……そうだ! 自分たちも首を吊りましょう!』ってブレーキのぶっ壊れた提案をしてきたんですよ。さらに首吊り死体の真下には液化したお肉が溜まっていた場所があったんで、そこにアメを落として、舐めようとまで…。
力夫:あと、この場所は臭いんで、臭いもの、たくあんを食べようと提案しましたね。でも、どれもやってないんですよ。同行した担当編集が、カンカンにブチ切れちゃって…。
ギンティ:担当編集が、『たくあんって。何だそりゃ!? お前、何を思ってあの場所でたくあんをかじりてぇんだ!!』、『アメ? ここで舐めろよ!! なんで行って舐めるんだよ』って。もう頭に血が上りすぎて、わけわからないキレ方をされました(苦笑)。
――担当編集さんがキレる気持ちもわかりますが、これがふたりのリミッターを外した状態…。『殴り込みシリーズ』では絶対できないですね。
ギンティ:結局ダメだったので、この廃墟をバックにひとりずつこの人形の首にロープを巻きつけて手で持ち、吊るした模様を撮影しました。
力夫:もともとは“首吊り死体の横に靴を吊る”という異様としかいいようがない世間の人の価値観からずれた行為をする画を撮ろうと思っていたんですけどね。それでも、これはこれで、まったく違う新たな儀式をしたということもあり、なんともいえない画が撮れました。
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