プーチン側近が開発する“あらゆる人・モノ・金の動きをスキャンする”最終兵器「ヌースコープ」が恐ろしすぎる!
特にBBCが注目しているのは、2012年に学術誌「Economics and Law(経済と法)」で発表された「The capitalisation of the future(未来の投資)」という論文だ。その中でワイノ氏は、「現代の社会と経済は、伝統的手法で制御するにはあまりにも複雑になりすぎた」として、「統制と管理の新しい方法が求められている」と主張している。
さらにワイノ氏は、世界の膨大な出来事を処理・解釈するための装置が求められていると論じたうえで、「Nooscope(ヌースコープ)」というまったく新しいデバイスを提唱している。彼の言葉を引用すれば、「ヌースコープ」とは世界意識に入り込み、生物圏と人間の活動における変化を発見・記録するためのデバイスとのことだ。
問題の論文は、全体を通して極めて難解なグラフや図表で埋め尽くされており、このように“怪しい”一文まで記述されている。
「私たちが想像の世界ではなく現実の世界に生きているなどと、誰にも証明することはできないのです――」
BBCは複数の専門家に解説を求めたが、「社会を理解し、組織化するための新しい手法を提唱しているようだが、とにかく理解不能」であるとして、全員がさじを投げたという。
■すでに存在するのか? 開発中なのか?
次にBBCは、論文の共著者である高名な経済学者ヴィクトル・サラーエフ氏にも接触を試みている。すると、「ヌースコープ」の謎について僅かながら具体的な答えが得られたようだ。
サラーエフ氏は、「ヌースコープ」について「あらゆる人・モノ・金の動きをスキャンするデバイス」であり、「望遠鏡や顕微鏡にも匹敵する画期的な発明なのだ」と説明したものの、それが実際に存在するのか、もしくは開発中であるかという点に関して詳しく言及することを避けた模様だ。
■学者からは否定的見解も
さて、この「ヌースコープ」に、現地ロシア人たちも興味を掻き立てられているようだ。論文をモスクワ・タイムズ紙が報じると、すぐに「本当にそんなものがあるのか」「これは真剣なアイデアなのか」などの憶測と疑問が巻き起こった。さらに、ロシアの学者たちの間では、「ヌースコープ」懐疑論が広まりを見せているようだ。
ロシア国立大学高等経済学校のサイモン・コルドンスキー教授(哲学)は、「これは科学ではありません」と断じ、「未来の神話的仮設にふけっているだけでしょう」「ソビエト崩壊後にロシア経済を立て直した経済学者たちの純粋で進歩的なアイデアとは対照的だ」と批判。さらにワイノ氏について「現実を直視しようとせず、歪めようとしている心理状態が見える」と辛辣な評価を下している。
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