【昭和文化遺産】柏そごう(千葉県)・回転展望レストランの今を訪ねて

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 先日、年老いた祖母の家で、筆者が片付け物を手伝っていた際に、だしぬけにその姿を現した1枚のチラシ。B1サイズのその大きなチラシには、誇らしげに記されたロゴと、キャッチコピーが躍り、それがデパートのオープンを記念して、配布されたものであることが見て取れた。

 子どもたちは玩具売り場で興奮し、若いカップルたちは最新の家電やファッションアイテムに胸を躍らせ、家族を連れたお父さんは、それこそドラマや映画に出てくるような家庭サービスで妻や子供たちを喜ばせる…。当時の人々にとってデパートで過ごすそうした時間は、現在の我々が感じる以上に、大きな夢と喜びを与えるものであったのだ。

 本年9月末にその長い歴史に幕を閉じることが決まった千葉県柏市の『柏そごう』(そごう柏店)もまた、そんな当時の人々の夢と想い出が詰まった地元で人気のデパートであった。

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 千葉県柏市にある柏駅にほぼ隣接するような形で、この柏そごうがオープンしたのは、今を遡ること約43年前の1973(昭和48)年10月10日。高度経済成長期の再末期、後にその終焉をもたらすキッカケとなった第1次オイルショックが勃発する、まさに直前のことである。

 前出のチラシはその際に配布されたと思しきものだ。当時この地域は、周辺の急速な宅地開発により、加速度的に人口が増加するという、いわば、伸び盛りの時代だった。一般大衆の多くが、今日も明日も明後日も、そこから先の遠い未来まで、いつまでもその好景気が続くことを信じて疑わなかった頃のことであった。

 大衆の期待を込めて建設されたこの建物には、その14階部分に、当時大人気だった回転展望レストランが設けられている。その往時には、360度のパノラマを満喫できるこのレストランでの食事を目当てに、訪れる客が後を絶たなかったのである。

 なお、当時、全国に展開されていたそごうの各店では、こうした回転展望レストランを備えている店舗が目立ち、「そごうデパート=回転展望レストラン」という印象が、当時の人々の間で広く定着していた。だが、そこから40年以上の時が流れた2016年現在、同デパート系列の施設で、回転展望レストランとしての機能を残したままで営業しているのは、この柏そごうのみ。まさに「昭和は遠くなりにけり」といったところと言えるかもしれない。

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