新約聖書の記述と完全一致?2千年前にキリストが説法したシナゴーグが遂に発見される!
イスラエル北部にあるガリラヤ地方の、人家から離れた荒地が続く郊外――。ガリラヤはイエス・キリストの初期の伝道地として有名だが、最近になり2000年ほど前のユダヤ人の会堂であるシナゴーグ跡が発見された。
■聖書の記述と一致! キリスト生存時代のシナゴーグ跡が初めて発見される
これまでに発見されているシナゴーグは第二神殿時代と呼ばれる紀元前516年~紀元後70年の時代のものが多かったが、いずれももっと都市部に建設されていたもの。そして、イエスが生存していたとされる時代のシナゴーグはこれまでに発見されたことがなかった。
新約聖書によると、イエスは都市部から郊外へと複数のシナゴーグを渡り歩き説法を施したとされる。今回発見されたシナゴーグは『イエスはガリラヤ湖周辺の村々で説教した』という聖書の記述を初めて裏付けるものであり、イエスの生涯を正確に描いた重要な証拠になりうるとして世界中から注目されているという。
場所はティーバ山近郊のテル・リシェスと呼ばれる丘の頂上にある、ユダヤ人の村の一角。シナゴーグは極めて大きなサイズで、一部屋がおよそ8.8m×7.9mほどもあり、室内は石灰石で造られたベンチが並んでいた。
発掘隊のリーダーを務める、現地キネレットカレッジの考古学者モルデハイ・アビアム博士は「おそらく西暦20~40年に建設されており、その後100年以上に渡って使用されていたと思われます」と語っており、だとすればキリストが生存していた時代に重なっている。
このシナゴーグの名前は新約聖書に出てはこないが、実際にイエスが伝道していた地方の生活の様子を知る貴重な資料となり、キリスト教信者や新約聖書の研究者にとって貴重なものとなりそうである。
ベンチや壁だけでなく、屋根を支えていたであろう大きな2本の支柱も発掘されているが、これはスペイン系ユダヤの流れをくむデザインで、人々が壁に沿うように座り、中心にいるトーラと呼ばれるユダヤ教の律法を説く者を囲むようになっているものだという。イエスは生前にこのような小さな田舎のシナゴーグを渡り歩き、旅を続けたのだろうか……。
■「美しい石灰石のベンチと大きな支柱は高価なもの」
イエス死後の西暦132年にローマで反乱を起こしたユダヤ人の革命指導者バル・コクバは、シナゴーグをエルサレムの方向に向かって建設させており、これ以降シナゴーグは祈りのための、より形式的な場所になっていった。テル・リシェスを含むガリラヤ地方の多くの村々のシナゴーグは、バル・コクバ率いるローマ兵の破壊や接収を免れて比較的無傷で残ったと考えられている。
先述のアビアム博士は、今回のシナゴーグは当時の地主階級が家族や使用人のために建てたものではないかと推測。「一見シンプルな造りに見えるが、美しい石灰石のベンチと大きな支柱は高価なもの」だと博士は語る。
発見現場となったテル・リシェス近郊にはツィポリ国立公園があり、こちらもローマ支配時代やビザンティン時代の珍しいフレスコ画や遺跡でも有名だ。ナザレ村で大工をしていたヨセフとイエスが働きに来ていた可能性が高いとも言われており、この辺りはガリラヤ地方の中心的なユダヤ人都市だったようである。
真実を伝える歴史的資料としても注目を集め始めている新約聖書――。今後も内容を裏付ける、考古学的な証拠が出てくるだろうか。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」ほか
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