全国の劇場が上映拒否! 自民党議員が「スパイ防止法」のプロパガンダとして製作協力した【封印映画】とは?
警視庁外事課の野々村警視(柴俊夫)は、ソ連に限りなく似たB連邦と、北朝鮮に限りなく似た北方共和国の防諜活動を任務とし、「黒猫」というコードネームのスパイを追っていた。一方、野々村の大学ラグビー部時代のチームメイト・大田黒(高岡健二)は、同じラグビー部OBのジャーナリスト・高松(国広富之)のコネで、ボランティアで参加している平和運動の資金提供をB連邦から受けていた。ちなみにラグビー部の主将役は内藤剛志。
野々村はカメラ店主・島田(伊吹剛)をマークするが、その妻・みどり(音無真喜子)は高松の妹だった。やがて監視中の島田が国外逃亡を図り、野々村らは巡視船とヘリで追跡するが逃げられてしまう。そこへB連邦スパイ・コルノフビッチが亡命し、同国のスパイ機密を暴露する。その情報を元に野々村がアジトに踏み込むと、そこにいたのは……。
とまあ、大学時代のラグビー部OB内や親族内で敵味方に分かれるような、国際的な公安にしては狭い範囲での攻防戦(笑)が繰り広げられ、ここでの刑事さんたちは『太陽にほえろ!』みたいには上手く検挙はできなかった。だが問題はそこではない。
映画マニア・ドラママニアの中には、ひとつの作品に対して、こんな楽しみ方をしている輩(オタク)が多い。例えば、和製スター・ウォーズとしてカルトな『惑星大戦争』(77年)のキャスティングを見れば、「『仕置人』の沖雅也、『助け人』の宮内洋、『からくり人』の森田健作、『仕置屋稼業』の新克利……わ、歴代の殺し屋が集結している!」と「必殺シリーズ」を連想して大はしゃぎする。
また、刑事ドラマの名作『特捜最前線』を見れば、「『仮面ライダー』の藤岡弘、、『仮面ライダーストロンガー』の荒木しげる、『秘密戦隊ゴレンジャー』『ファイヤーマン』の誠直也、『マイティジャック』の二谷英明。お、『ガメラ』『大魔神』の本郷功次郎もいる……こりゃあ『特撮最前線』だ!」と大喜びする。そういったオタク視点からすると、この作品は恐ろしく「揃っている」のだ。まず刑事役だけで挙げると、
柴俊夫……『シルバー仮面』『シルバー仮面ジャイアント』主役。
真夏竜……『ウルトラマンレオ』主役。
三ツ木清隆……『光速エスパー』『白獅子仮面』主役。『特捜最前線』刑事役。
荒木しげる……『仮面ライダーストロンガー』主役。『特捜最前線』刑事役。
本郷功次郎……『ガメラ』シリーズ、『大魔神』シリーズの常連。『特捜最前線』刑事役
山村聰……『ノストラダムスの大予言』『ゴジラVSキングギドラ』で総理大臣役、『必殺』シリーズ『ハングマン』シリーズでは元締め役。
ここの外事課には変身ヒーローと腕利き刑事が勢揃いし、警視総監(山村聰)までお偉いキャリア最強の部署なのだ(劇中ではさほどでもなかったが……)。さらに柴俊夫の父親役は『ゴジラ』シリーズほか東宝特撮の常連・久保明だし、スパイ側にも『Gメン’75』の伊吹剛、『ウルトラセブン』のモロボシダンこと森次晃嗣! これは特撮マニア、刑事ドラママニアなら見たくなるでしょう? 彼らの絡みを見ているだけでも楽しい作品だ。できれば一般流通に載せられる形でソフト化してもらいたいものだが、いろいろと難しいのかな……。
■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
ウェブ連載・「幻の映画を観た! 怪獣怪人大集合」
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