風化されゆく「三里塚(成田)闘争」 の地の今 ― 島状に点在する“激戦の痕跡”を訪ねて

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 そんな彼らが暮らす田園風景を眺めつつ歩いていると、しきりに上空を行きかう巨大な航空機の機影と轟音さえ無視すれば、それは一見、どこにでもある農村のひとコマを思わせる。だが、そこからしばらく歩けば、すぐにまた空港側との衝突を感じさせる痕跡へと差し掛かるのだ。近くにある二つのバス停は、果たしてどの程度の利用者がいるのかもわからないほどに閑散としており、道路脇に点在する農地には、「第3滑走路粉砕!」「農地取り上げ許さない!!」といったスローガンを記す立て看板が確認できる。またその後、しばらく周囲を散策してみると、慰霊碑と思しき石碑が等間隔に三柱並ぶ光景に出くわしたが、聞くところによると、これらは1971(昭和46)年に起きた東峰十字路事件で、過激派との衝突によって殉職した3名の警察官への鎮魂の意味が込められているという。

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 安保闘争や学生運動、そしてそこから様々な事件が巻き起こり、それらの事象の1つ1つが、生々しい爪痕ではなく、教科書上の記載となってしまったこの時代、多くの人々が政治に関心がないとされつつも、ネット上にはいわゆる「ネトウヨ」「ネトサヨ」へと姿を変えた怒れる大衆が、顔の見えない相手との論戦に興じる世となった。そうした当世と、闘争にすべてを捧げた若者たちの激動の時代とを重ね合わせると、やや隔世の感は否めないが、少なくともこの地域に限って言えば、当時から続く彼らの長い戦いの歴史が、今なお、現役のものとして息づいているのかもしれない。
(写真・文/Ian McEntire)

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