【インタビュー】KKKから読み解ける現代の謎! なぜトランプは選ばれた? なぜ世界は右傾化へ?
――つまりトランプとクランは直接的な関係にはないということでしょうか?
浜本氏 断言はできませんが、これほど騒がれていても証拠が出てこない、というのであれば、関係は極めて薄いのではないかと思いますよ。ただ、直接的な関係はもはや重要ではないと思います。注目すべきは、極端な主張を繰り広げるトランプ氏と、同じく移民排斥など極端な主張をしていた当時のクランとが、それぞれの時代で、国民から大きな支持を得た、という点でしょう。そして、この右傾化・保守化の傾向は、英国のEU離脱にみられるように、世界に広がる可能性を秘めています。仮に関係があるとすれば、それは社会的な不満ではないでしょうか。そのはけ口が、どちらかと言えば保守的な方向へ傾いているところに共通項があるのかもしれません。
ただし、これまでこうした不安や不満は、従来であればデモなどの形で表現されてきましたが、近年は異なってきているのが気になります。たとえば、イギリスのEU離脱決定や、ヨーロッパにおける右派政党の躍進にみられるように、いずれも政治的・民主的なプロセスを経て、国家や国民、そして世界へ意思を示しはじめています。こうした流れは、テロによって政治的主張を展開した第3期クランとは異なり、女性票を取り込んで政治活動を行った第2期クランのそれに通じていますね。第2期クランの性質について調べることで、世界情勢の今後の展開を知る一助になるのでは、と考えています。
――ありがとうござました。最後に出版後、著書に対しての思いがあればお願いします。
浜本氏 クランに対する一般的なイメージは、まだまだ黒人差別をする凶悪集団というものが根強いです。ただ、ここまでお読みくださったらご理解いただけるように、クランは単なる犯罪集団ではありません。クランの活動には、各時代の社会的背景が影響しています。さらに、クランを調べることで、現代を知る手がかりが見つかるかもしれません。このような思いでクランについて研究し、本書にまとめました。ぜひ、一度、図書館ででも構いませんので、本書を手にしてもらえたらうれしいです。
(取材=本多カツヒロ)
浜本隆三(はまもと・りゅうぞう)
1979年京都府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科(現グローバル・スタディーズ研究科)博士後期課程単位取得退学。福井県立大学学術教養センター専任講師。専門はアメリカの文学と文化。共著に『欧米社会の集団妄想とカルト症候群』(明石書店)、単訳書に『アブサンの文化史』(白水社)、共訳書に『マーク・トウェイン 完全なる自伝』第1巻(柏書房)などがある。
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2024.10.02 20:00心霊【インタビュー】KKKから読み解ける現代の謎! なぜトランプは選ばれた? なぜ世界は右傾化へ?のページです。KKK、ドナルド・トランプ、本多カツヒロ、浜本隆三などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで