「瞑想するマウス」の脳波を調べて判明! 瞑想の“本当の効果”とは?
最近日本でもじわじわと浸透しブームになりつつある“マインドフルネス”――瞑想及びその他の訓練を通して自分本来の身体や気持ちの状態に気づくための心のエクササイズとして、ハリウッドセレブやGoogleはじめ世界的な大企業でも導入する動きが広がっている。
■瞑想状態のマウスの脳波がシータ波に
現実をありのままにとらえる心の持ち方=マインドフルネスを実施すると、ストレスフルな場面においてもネガティブな感情や状況にとらわれることなく、いつでも本当の自分を取り戻すことができるという。
マインドフルネスについてかねてより研究を行っている米・オレゴン大学では、今回、この効果の科学的根拠を動物実験により検証し発表した。なんと遺伝子操作により“瞑想するマウス”を生み出して、瞑想が及ぼす効果を調べたのだという。その結果、ストレスが目に見えて軽減することが脳波にくっきり表れたのである。
認知神経科学者のクリス・ニール博士率いる研究チームは元々マインドフルネスのトレーニングを行っている人々の脳波の測定・調査を行っていたが、瞑想中に被験者の脳の白質(大脳や脊髄など神経線維が集まる組織)に変化があることに着目した。集中した時に発生し人間のインスピレーションやヒラメキを促進するといわれる、脳波のシータ波(θ波)が鍵を握っているのではないかという仮説を立てて、その裏付けを取るためにマウスを使った実験を行うことにした。
チームはレーザーを照射するとニューロン(神経細胞)に活動電位が発生するように、マウスの脳に遺伝子操作で特殊なタンパク質を移植した。これによりマウスの脳が瞑想を行っている状態を生み出し、マウスのACC(前帯状皮質)におけるシータ波が発生した際の変化を観察できることを目標にしたという。
ACCは感情や行動調節、意思決定といった幅広い認知機能を司っており、動物の恐怖心や逃走反応に関係する脳の原始的な部分である扁桃体も含んでいる。
ACCにレーザーを照射して瞑想状態になった個体は、脳の他の部分にレーザーを照射したマウスよりもストレスが軽減されたことを確認した。そして瞑想状態のマウスには人間の被験者と同じシータ波のパターンが見てとれ、さらに深くリラックスした脳波があらわれた。
■「今後1年以内に瞑想がもたらす変化や効果をより正確につかみたい」
今回の研究では、瞑想とストレスの軽減の関連性が明らかになったが、白質の増加とマインドフルネスの抗不安作用についてはまだ不明な点が多く、今後のさらなる課題として残っているようだ。
「一般に瞑想は人間が行う高度な行為と考えられているが、生物学的に(人間以外で)有効性を検証してみたい。マウスに瞑想させることが最終目的ではないが、脳の領域でどのような変化を与えられるか調査を進めたい」とニール博士は語り、今後1年以内に瞑想がもたらす変化や効果をより正確につかむことを目指している。
マインドフルネスのやり方については姿勢や呼吸法、取り組む時間帯などさまざまなスタイルがあるようだが、興味がある人はまずは自分が取り組みやすいところから1日5分でも実践してみても良いかもしれない。少なくとも数週間は続けてみないと効果は感じられないそうなので、三日坊主になりそうな人、まず自覚を持って!
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Daily Mail」、「LA Times」、ほか
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