『美女と野獣』は「処女と獣姦」だった? 原作の本当のテーマに衝撃!

■この時期のおとぎ話の3分の2は女性作家が創作

『美女と野獣』は「処女と獣姦」だった? 原作の本当のテーマに衝撃!の画像3 「The Guardian」の記事より

『美女と野獣』の原作を執筆したヴィルヌーヴ夫人も、短縮版を編纂したボーモン夫人も女性なのだが、当時のおとぎ話作家は女性が過半数を占めていたという。おとぎ話を百科全書的に研究した『オックスフォード・コンパニオン・トゥ・フェアリーテイル』は、1690~1715年までに出版されたおとぎ話の3分の2は女性作家による作品であり、それまでの文芸の形式には見られない表現などを含む実験的ジャンルであったことを指摘している。まさに女子教育を担う教育者のように、女性作家は若い女子に向けた物語を“責任を持って”提供していたのだという。ちなみに、フランスで1690年に初めて出版されたおとぎ話は、ドーノワ伯爵夫人であるマリー・カトリーヌが執筆した『The Isle of Happiness』である。

 マリー・カトリーヌが手がけた“美女と野獣”が登場する物語は『Le Serpentin vert』や『The Great Green Worm』などがあり、興味深いことに“美女”と“野獣”との間の恋の成就のみならず、著者によっていくつものアドバイスが散りばめられており、その中のひとつが“野獣”との会話で“タメ口”をきくことであると『From the Beast to the Blonde: On Fairy Tales and Their Tellers』の著者であるマリナ・ワーナーが指摘している。これはそのまま結婚生活への指南となり、つまり夫に隷属的な態度をとってはならないということだ。

 いわゆる“意識高い系”の女子にとって、結婚相手の男性が“野獣”にしか見えず、夫婦の夜の営みがまさに“獣姦”のようなものであるとすれば、男性側としては少し残念な気もするが、当時の社会では少なからず当てはまるものだったということだろうか。こうした観点から、もうすぐ公開される映画『美女と野獣』を観ても興味深いかもしれない。
(文=仲田しんじ)


参考:「Pictorial」、「The Guardian」、ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

不思議ジャーナリスト・広瀬学が渋谷クロスFMのラジオ番組のレギュラー出演者にな...

2024.03.19 16:30スピリチュアル

『美女と野獣』は「処女と獣姦」だった? 原作の本当のテーマに衝撃!のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル