■日本のYOKAIを求めて58カ所を取材
『WILDER MANN (ワイルドマン)』青幻舎
フレジェが『YOKAI NO SHIMA』のプロジェクトを思いついたのは2011年。ヨーロッパ各地で行なわれている祝祭や儀式に登場する獣人を撮る『WILDER MANN』(ワイルドマン)のプロジェクトを終えた後のことだ。引き続き仮面仮装文化について調査を始めた彼は、秋田のなまはげを知り衝撃を受けた。さらに調査を進めるなかで、日本列島に様々な仮面仮装儀式文化が残っていることを知り、『YOKAI NOSHIMA』の撮影を始めることを決めたのだという。以前にも力士を撮ったシリーズや成人式を撮ったシリーズを発表していることから、意味とその象徴である独特の衣装に対する関心は持っていたようだ。
撮影地は、北は秋田から南は八重山まで。2週間以上の滞在を5回にわたって繰り返し、2年間で58カ所を取材した。撮影は原則的に個々の祭事の関係者へのアポイントメントを取ったうえで行われたが、簡単な作業ではなかったようだ。事前に許可が下りない場合は実際の祭事に足を運び、その場で写真を撮ることもあったのだという。
シュナップフィーシェ 〈イタリア/南チロル地方/テルメーノ〉 WILDER MANN series, 2010-2011 ©Charles Fréger/『WILDER MANN (ワイルドマン)』青幻舎