早乙女 〈宮城県/仙台/愛子〉 YÔKAÏNOSHIMA series, 2013-2015 ©Charles Fréger/ 『YOKAI NO SHIMA 日本の祝祭 ― 万物に宿る神々の仮装』青幻舎
「確かに、伝統を知りたい人や大まかな知識を得たい人が喜ぶのに十分な情報が写真にはある。でも、実際にそれほど客観的な民俗学者や人類学者はいない。誰もが選択する際には主観性を持っている。人がどこかに行くのは欲望があるからで、自分の仕事も同じ。だから、この本の写真はほとんが私のパーソナリティにも結びついている。ある種の日本の祭り、民間伝承、コスチューム、妖怪や怪物の好みが、写真選びや撮る意欲に繋がっている」
各地の土着性を感じさせつつも、異形な神々のフォルムが際立っているのは、フレジェが人類学者や民族学者ではなく写真家であればこそ。写真から感じられる潔いヌケ感も、日本の民俗文化とのしがらみがないフランス人ゆえの距離感。いい意味で日本の伝統そのものから切り離されているからなのだろう。